【よーい、ドン!】 ページ34
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side A
午後、私たちはキャップの運転で被害者・山田修のアパートに向かった
百合根「ご両親によれば山田さんは文具メーカーに勤めていたらしいのですが、会社に確認したところすでに3年も前に辞めていました。
家賃はしっかり払われていたので何かしら働いていたんだとは思いますが、
どのような日常生活を送っていたのかご両親も前の会社の人もわからないそうで...
赤城さんみたいに引きこもりだったんですかね?」
お兄ちゃんはキャップの話に耳も傾けず室内にあったランニングシューズと2つのデジタル腕時計に目を付けた
赤城「キャップ、よく屈伸しておけ」
うわ、お兄ちゃんキャップに走らせるつもりだ。
引きこもりの人がランニングシューズとデジタル腕時計なんて必要ないもんね
百合根「...はい?」
赤城「その推理は間違っている。罰として走れ」
百合根「大人になってまでどうして罰走しなきゃいけないんですか?」
「キャップ...全然遺体見てないんだね」
百合根「はい?」
「被害者の顔」
百合根「顔...見ましたけど」
じゃあ何で気付かないんだ...
思わずため息をついてしまった
赤城「被害者の顔は日焼けをしていたがムラがあった。顔の右側に比べ左側が黒かった
だが自宅の間取りは北向き、日焼けは出来ない。
被害者は夜型だった。起きるのは毎日11時、支度をして家を出るのは恐らく12時。
12時に太陽は真南を向いている」
私たちはアパートの部屋から出て被害者のルーティーンを辿った
赤城「どのストップウォッチも30分に設定されていた。被害者はずっと毎日30分走っていたんだ
キャップもここから西に向かって30分走れ、被害者の生活スタイルがわかるぞ」
百合根「それ意味があるんですかね?」
「はい、位置に着いて...よーい、ドン!」
私の合図でお兄ちゃんは時間を測り始め、キャップは渋々走り出した。
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作者名:愛音 | 作成日時:2021年3月28日 16時