【謹慎と厳重注意】 ページ5
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side 嶋田
一年前に発生した美術教師による女子生徒への暴行未遂事件
その真相を調べていた小川香里が不慮の自転車事故がきっかけで亡くなった
その事故を引き起こしたのは校長の木島敏文だった。
動機は女子生徒への暴行未遂事件の隠蔽
そして最後に一つだけ、解決できない謎が残された
それは…香里が一体何を考えていたのかということ
アイツは生徒の心に土足で踏み込むようなやつじゃない
心に深い傷を負った生徒なら尚更だ
じゃあ香里は何がしたかったんだ...?
side A
さっちゃんに誘導されて乗った2回目のパトカー
後部座席にはお兄さん、私、さっちゃんの順で座った。
静まり返る車内、ずっと外を眺めていたお兄さんは「悪かった」って一言さっちゃんに謝った
隣で書類を作成していたさっちゃんの手が止まり、ポタポタと書類を濡らした。
何を言うわけでもなく、さっちゃんはワンワン泣いてた。
住浜署に着くと婦警さんが私の取り調べをした。
優しい口調で優しい表情で色々聞かれて、私がしたことを全部話した。
お兄さんのことも聞かれたけど正直に答えたらお兄さんが逮捕されちゃいそうで『わからない』って答えると
それ以上は何も聴かれなかった。
パパとママが迎えに来てる、って言われて玄関に向かう途中さっちゃんに声を掛けられた
「送ってこうか?」
『...ううん、パパとママ来てるから』
「そっか、気を付けてな」
私の頭にポンってして立ち去ろうとしたさっちゃんを呼び止めた
『お兄さんは...逮捕されるの?』
「...大丈夫、そんなことさせない
まぁ...謹慎ぐらいにはなっちゃうと思うけど」
『...そっか
ありがとね、さっちゃん。お兄さんを止めてくれて...』
「...もう無茶しちゃダメだよ?」
『...はい』
お姉ちゃんが居なくなった今、暴走するお兄さんを止められるのはもうさっちゃんしか居ないのかもしれない。
さっちゃんが言った通り、お兄さんは一週間の謹慎処分が言い渡され私は厳重注意扱いになった。
でも私はしばらく学校には行かなかった。
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作者名:愛音 | 作成日時:2021年4月4日 10時