【今度は...】 ページ23
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side 井上
新しいドラマのシーン撮影
モニターチェックするも私はまた目立たない存在
「お疲れ様でした」
プロデューサーに声を掛けても見向きもされない
お母さんの声が聞こえてそちらに目を向けた
「うちの双葉、もう少し前に出していただけないでしょうか?」
「考えとくよ」
「よろしくお願いします、双葉をよろしくお願いします!」
そう言ってお母さんは何度も頭を下げていた
「お母さん、もう帰ろう?」
「あ...明日17時から東都テレビのオーディションね。はい、これ台本
セリフきっちり頭入れといて」
「どうせまた落ちるよ...受けるだけ無駄だって」
正直、辞めたい気持ちがあった私はそう言って辞めるチャンスを貰おうとした
「あなたには才能がある。お母さんを信じなさい
お母さんの夢、叶えてほしいの。ねっ、頑張ろ?」
でもお母さんには私の思いは届かなかった。
side 相良
「ただいま」
塾から家に帰っても電気が付いているのに家に誰の姿もない
ママいないのかな?なんて思ったのは一瞬で
嫌な予感がして自分の部屋に走るとママの姿はそこにあり、手には浅村先生がくれたスピーチコンのパンフレット
「ママ何してんの!?」
「...何なの、これは」
「私のカバン勝手に漁ったの!?」
「これは何なの、って聞いてるの!」
「...浅村先生に貰ったの。『これ受けてみない?』って」
「何なのあの担任...この大事な時期にこんなもの!」
そう言うとママはパンフレットを破ってグチャグチャにして投げ捨てた
「あなたの母親は私よ。あんな担任の言うことなんか無視しなさい!
...ほら、さっさと復習しなさい!」
声を荒げるとママはドアを勢いよく閉めた
一人残された部屋で私は泣き崩れた
勉強机の引き出しから取り出したのは小型のナイフ
...いつかママを殺してやる
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作者名:愛音 | 作成日時:2021年4月4日 10時