【嘘】 ページ50
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「お前と彼女が言い争ってるのを見たってやつがいるんだ、恨みでもあったんだろ？」
「恨み？」
「どうなんだよ！」
岡部は俺の腕を振り払うと言った
「さっきから何を言いたいのかわかりませんよ...
小川先生の事故があった日、僕はフランスにいましたよ。
自分を見つめ直すために美術館を巡っていました」
「...証明できるのか？」
「もちろん。日付の入った写真だってありますよ、
何なら警察で渡航履歴調べてもらっても結構ですよ
大体、何で僕が小川先生を...あの件ではむしろ感謝してるぐらいなのに」
「...感謝？」
「だって...小川先生たちが間に入ってくれたから
普通刑務所行きでしょ」
「刑務所...？」
ただのセクハラだけでは刑務所行までにはならない
コイツ...
俺はもう一度岡部の胸倉を掴んで聞いた
「お前、涌井美月に何をした？セクハラだけじゃないのか？」
締め上げると岡部は吐いた
side 浅村
残業を終えて一人になった職員室の電気を消したところでスマホが鳴った
表示されたのは‶岡部先生″
「...もしもし
...もしもし？岡部先生？」
何度声をかけても応答がない
「もしもし」
「‶もしもし″」
電話越しの私の声が後ろから聞こえた
振り返るとそこにはスーツ姿の嶋田さんの姿
「嶋田さん...」
「...返しとけ」
彼は岡部先生のスマホを私に投げた
「岡部に忠告したのはやっぱりお前だったんだな。
...刑法180条、強制 性 交 等未遂
涌井美月が受けたのはセクハラなんてもんじゃない、立派な暴行だ。
...知ってること、全部話せ」
「...知ってどうするんですか」
「言っただろ、『殺す』って」
「信じられない...警察官が使う言葉とは思えません」
嶋田さんは職員室に足を踏み入れながら続けた
「警察や法律の力には限界がある。香里の死が事故で片づけられたように...
だったら正義は自分の手で下すしかない」
「それは正義なんかじゃありません、自己満足です」
「...暴行犯庇ってるお前に正義を語られるとはな
まぁいい、お前が話さないんなら涌井美月に直接聞くまでだ。クラス全員の前でな」
私は耳を疑った
「そんな...！せっかく学校に来られるように、」
「だったら話せよ！...俺は香里の死の真相に辿り着くまで絶対に諦めないからな」
嶋田さんに負けて私は口を開いた
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作者名：愛音
| 作成日時：2021年3月14日 14時
