【やりがいの搾取】 ページ36
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「そんなものは教師の間で解決しろ」
「出来ないから言ってるんじゃないですか...もう上に忖度なく対抗できる先生はこの学校にはいないんです！
新津は今にも心の病気にかかりそうなんです...」
「我慢できなければ辞めればいい、できるなら続ける。それだけのことだろ？」
「...教師の仕事はそんな簡単じゃない
頭では我慢できると思っていても体が悲鳴を上げるんです。
それでも生徒のためなら、ってみんな頑張ってその気持ちに学校は付け込んでます
これじゃあやりがいの搾取ですよ！」
「民事と面倒への不介入が俺の原則なんで」
そう伝えて俺は校舎内に戻った
やりがいの搾取...
いつの日か香里もそんなこと言っていたな
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
〜回想〜
鉄板焼き屋に仕事終わり、飯を食べに行くと香里の愚痴は職場の話だった
「やりがいの搾取？」
「そう。『わかってて先生になったんだろ？』って言われたらもう『ごめんなさい』としか言えないけどね？」
「赤の他人の子どもを育てることのやりがいなんて俺には一生わからないよ」
そう言うと香里は笑いながら言った
「赤の他人を守る警察官が何言ってんだか」
「俺は人を守ってるんじゃない、秩序を守ってるんだ」
「また言ってる」
香里はコテを手に続けた
「でも私、気付いてるんだ。隆平もね、表ではそんなカリカリしながらホントは世話焼きなところがあること
ツンデレって言うか何かさ、案外隆平もいい先生になるかもよ？」
「馬鹿。学校なんて二度と行きたくねぇよ」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
そう言いながら笑い合っていたけど俺はこうして学校にやってきた
世話焼き、か...
香里には負けるよ
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作者名：愛音
| 作成日時：2021年3月14日 14時
