教場Ⅱ (ページ9)

今日:4 hit、昨日:29 hit、合計:407,074 hit

【着衣泳】ページ9

.

side 鳥羽

「第一列！」

「「おー！！」」

自習を終えて次の授業は着衣泳だ

「服を着たまま泳ぐことの難しさを体感しろ

水を吸って重いだろ、抵抗力が増えて体力も奪われる

その感覚を体に覚えさせろ！」

着衣泳を終えたところで全員プールサイドに上がり今度は水難救助だ

須賀副教官が溺れ役の生徒を救助している姿を見て隣に立っていた稲辺に小声で伝えた。

「...時速3キロ」

「...わかるんですか？」

「向かってくる水しぶきの音、それで移動時速を弾き出す」

「...どういうこと？」

「感覚だよ。耳が良いんだ」

自信満々にそう答えた

「いいか、これが救助の基本だ」

「「はい！！」」

「...さすが先輩！」

「どいつだ勝手に喋ってる奴は！！前に出ろ！」

「はい！」

せっかく小声で喋ってたのに稲辺が少し大きな声で返すもんだから

運悪く副教官にバレてしまった。

「稲辺、自分の顔見てみろ。ここに鏡があんだろ」

「はい」

そう言われて稲辺は屈んで水面に映る自分の顔を見た

「ほら、よーく見ろ」

稲辺がプールサイドに手をついた時、副教官は稲辺の頭を掴んでプール内に落とした

「気ぃ抜いてるとこういうことが現場でも起こるぞ！気を引き締めろ！」

「「はい！！」」

その後、溺れてしまった稲辺を助けるように副教官に言われ

プールに飛び込み、この日の授業は終了した。