教場Ⅱ (ページ8)

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【奴隷】ページ8

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side 遠野

今の30分ほどの時間で何が起きたのか、私の脳内は混乱したまま風間教官は教場を後にした。

って言うか私の知ってる風間さんと違い過ぎて困惑

昔はもっとよく笑う人だったんだけどなぁ...

あ、でも顔は相変らずカッコいいか。

手帳に挟んだお兄ちゃんと風間さんと昔撮ったスリーショットを眺めてニヤニヤしていると

前の席の忍野さんが私に声を掛けた。

「Aちゃん、だよね？凄いね！

私ビックリして何も出来なかったよ...」

『いやっ、めぐみちゃん達の反応が普通だよ！私もビックリしたもん

いくら警察学校の学生になった、って言ってもねぇ...』

「そうだよね、怖かったよね！」

私たちの会話に割って入ったのは、私の後ろの席の吉村健太くんだった。

「うん、こんな授業がずっと続くんだ...」

「鳥羽さんのせいだ...もー、鳥羽さん芝居上手すぎ」

「こっちも必死だったんだよ！‶真剣にやらなかったらクビだ″って言われて...」

鳥羽さんと吉村くんがそんなやり取りをしている中、

ロッカーが閉まる音が聞こえて振り返ると

杣利希斗くんが荷物をまとめて教場を出て行こうとしていた。

「ちょいちょいちょいちょい、おぉどしたどした？どこ行くの？」

「‶自習しろ″って言われましたけど」

「ここで、とは言わなかった。寮に戻って自習する」

わぁ、なんて強気な人なんだ...

昔の風間さんになら出来るかもしれないけど、

今の風間教官にそんなことして殺されない？大丈夫そう？

「勝手なことしないで、連帯責任取らされる」

「俺は教官の奴隷じゃない」

「...どういう意味？」

「わからないのか？視覚的な効果は強い。

これから先この授業のことは頭から離れない

...教官はたった10分で僕らを支配したんだ」

反対する生徒を押し切って杣くんは教場をあとにした。