教場Ⅱ (ページ13)

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【着眼】ページ13

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『はい、確かに稲辺くんと話をしました。

鳥羽さんが蟻の図鑑を見ていたので蟻の話をしていたら

稲辺くんが『遠野さんは蟻好きですか？』って...

あ、蟻に好きとか嫌いとか感情を抱いたことがなかったので何も返せませんでした』

「そんなことは聞いていない！」

...何！？

アリバイ証明だって言うから正確に詳しく教えたのに！！

『申し訳ありません』

「もういい、戻れ」

『はい。失礼します』

警察学校だからってわかってるけど...ここの教官、みんなピリピリし過ぎじゃない！？

『...あ、次風間教官の授業だった』

早く戻らないと！

・

「よろしくお願いします！」

「「よろしくお願いします！！」」

授業にやってきた風間教官の隣には女性警察官が立っていた。

「紹介する。今期から副教官として君たちを指導することになった田澤愛子だ」

「田澤です。まだ見習いですが、よろしくお願いします」

わー、綺麗

だけどキツそうだぁ...

「「よろしくお願いします！！」」

田澤副教官に見とれていたのか、後ろの席の吉村くんが挨拶に遅れ

ゴニョゴニョ言ってたのに吹きそうになりながらも何とか抑え殺し、

風間教官が彼に声を掛けている間、稲辺くんのことを不安そうに見る鳥羽さんが少し気になった。

「警察官というのはある物に着眼する仕事と言っていい。

ある物とは不自然な痕跡だ。もし街中で煤だらけの人間が歩いていたらおかしいだろう

だから我々はその理由を質問する必要があるわけだ。

...鳥羽、こっちに来てくれ」

「はい！」

教官に呼ばれた鳥羽さんは教官の隣に立った。

「私と話したくない、と思ってほしい。

どんな態度を取る」

教官が体の向きを変え、向かい合わせの形になると鳥羽さんは教官から体を背けた。