【好きor嫌い】 ページ11
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夜、俺は全員の日記を集めて風間教官のところに向かった
「鳥羽暢照です」
...返事がない
居ないのか？
「失礼します」
教官の姿はなく日記を提出すると俺は部屋の中の詮索を始めた
せっかく居ないんだし何かねぇかなぁ...と軽い気持ちで。
結局何もなく、入り口に人気を感じて振り返るとそこには風間教官の姿があった。
敬礼をし、怒られるかと身を構えるも時に何も言われることなく要件を伝えた
「本日分の日記を持って参りました」
「今日は何か変わったことはなかったか
些細なことでもいい」
「本当に些細なことなんですが...」
「構わん」
「...蟻です。数日前から部屋に入ってきて困っています」
「殺虫剤は使ったのか」
「またすぐ入ってきます」
「何故だ」
...知らねぇよ、そんなこと
俺昆虫博士じゃねぇし
「さぁ、詳しい人に聞いてみないと」
「君が自分で考えてみたらどうだ」
「はい！申し訳ありません！
失礼しました！」
些細なことでもいい、って言うから伝えたのに
なんて思いを抱えながら教官室を後にした。
side 遠野
消灯までの自由時間、図書館で自主学習をしていると鳥羽さんが蟻の図鑑を見ていた。
『蟻、好きなんですか？』
「まさか...俺の部屋壁に穴が空いててさ、そこから蟻が入ってくんだよ。
風間教官が『自分で何とかしようとは思わないのか』って言うから...
教官が『些細なことでも報告しろ』って言うから言ったのにさ」
おぉ、初日にして相当な鬱憤が溜まってる...
面倒くさそうだったから適当に話を終わらせて自習を再開しようとした時、
今度は稲辺くんに声を掛けられた。
「遠野さんは蟻、好きですか？」
『あ、蟻？』
また蟻の話？
『いやぁー...』
蟻に好きとか嫌いとかそんな感情持ったことないんだけどなぁ...
返事に困っていると『僕は好きです』と何故か嬉しそうに伝えて
稲辺くんは遠く離れた席に座った。
あ、そうですか...
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作者名：愛音
| 作成日時：2021年1月22日 18時
