素敵な明日を願って...4 (ページ35)

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緋山「奥さん、ちょっといいですか？」

彼の隣にしゃがみ、心配そうに頭を撫でていた奥さんに声を掛けた

多恵「早く何とかしてください...」

緋山「宮元さんは3度熱傷80％、気道熱傷もあります

極めて危険な状態です、」

多恵「だって全然普通じゃないですか！痛みもないって、」

緋山「深い火傷だからです。血管も破壊され、血流も途絶しています。

気管挿管といって呼吸を確保するために喉に管を入れる必要があります

ただ、あと10分もすればどんどん喉も腫れてきて入れられなくなります」

冷静に伝えるものの、とても心が痛かった

多恵「だったら、早くしてやってください！」

緋山「1回挿管したら抜けません。会話が出来なくなります、」

多恵「そんなの治療が終わってからいくらだって、」

緋山「このまま亡くなる可能性が高いんです

残念ですが...」

取り乱していた彼女は言葉も失った

緋山「つまり、このままにしてあと少しお話していただくか

挿管して治療に懸けてみるか、ということになります」

私は落ち着いて伝えるので精一杯だった。