【ヒーロー】 ページ17
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青山「また忙しくなっちゃってね、仕事
だから一樹の面倒見れないの...ごめんね？」
一樹「マジで...？ウソだろ？
俺、お別れ会してもらっちゃったよ？寄せ書きも貰っちゃったんだよ？」
青山さんは『ごめん、』としか言えなかった
一樹「みんなに何て言うんだよ！カッコ悪ぃよ！
そんな顔してまた戻るんだよ、」
そんな彼を止めたのは青山さんの母親だった
彼女は青山さんの顔を見ると悲しそうに頷いた
青山「元気でね、」
改めてそう言って一樹くんの手を掴んだ青山さんの手は
『売店でお菓子を買ってあげる、』と言った青山さんの母親の言葉で簡単に離れてしまった。
彼女の目から涙が溢れていた。
白石side
田上さんの処置を終えて元の病室に運んだ
白石「整形外科病棟は東通路からが早いですから...」
田上「一度でいいから滑れる方法はありませんか？」
白石「田上さん、」
『寝たきりになる、』という忠告を聞こうとしない彼に対し、つい口調が強くなってしまう
田上「見てないんです、娘はまだ
娘は見たことないんです、俺の滑ってる姿を...
一度でいい、たった一度でいい...
滑ってる俺を、俺の仕事を子供に見せたい
これが父親の仕事だ、って...」
漸く彼がスキーをしたい理由を知ることが出来た
白石「それで現役を続けていたんですか...？」
田上「お願いします、」
頭を下げられてももう滑らせてあげることは出来ない...
そんな彼が私の父と重なった
白石「私の父は医者です。
同僚からも家族からも尊敬される医者でした
その姿を見て私も医者を目指したんです
小さい私にとってヒーローでした。」
田上「だから俺も、」
白石「でも！...でも今は
その父も身体を壊してもう長くは生きられません...」
彼は私の話を黙って聞いてくれた
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作者名：愛音
| 作成日時：2020年12月21日 15時
