素敵な明日を願って...2 (ページ44)

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【抱きしめたい】ページ44

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涙が零れそうになるのを堪え、私は説明を続けた。

緋山「臨床的な脳死診断を当院の脳外科医と共に慎重に行いました。

その結果、脳死状態であることが確認できました。

薬で心臓は動かしていますが...生きてはいません、

数時間でその薬も効かなくなります

翼くんは...もう十分頑張ったんだと思います、」

直美「そう...頑張ってくれたんだね、翼

ありがとう...バイバイだね、もう...」

直美さんはそう言いながら翼くんの頭を撫で、ラジカセの音楽を停止した。

DNRオーダーを突きつけるなんて私には出来ない...

緋山「どうされたいですか？」

直美「抱きしめたい...

抱きしめてやりたいんです、この手で...」

彼女がそう言った時、シリンジポンプが警告音を鳴らした。

冴島「昇圧剤、切れます...

追加しますか？」

そう尋ねた彼女に首を横に振った。

瞬く間に血圧の下がっていく翼くん

もう時間はない。

酸素チューブを外して彼女に伝える

緋山「抱いてあげてください、」

彼女は翼くんに何度も謝りながら翼くんを抱きしめた。