素敵な明日を願って...2 (ページ3)

今日:170 hit、昨日:110 hit、合計:201,068 hit

【逞しくなった】ページ3

.

西条side

翔北に戻って木沢さんのオペを、橘と三井先生が森田さんのオペを行った。

彼らをICUに運び、カルテ記入を行っていると藍沢がやってきた。

西条「友達が亡くなったこと、目が覚めたら俺が伝えとくよ」

藍沢「...いえ、俺に伝えさせてください」

驚いたものの藍沢に任せることにした。

そのやり取りを見ていた橘がエレベータの中で俺に礼を言った。

橘「さっきはお気遣いありがとうございます、」

西条「あぁ、逞しくなったもんだな。

昔救命に来た頃は患者が死んじゃめそめそしてたのにな。」

橘「西条先生のお陰ですよ...ホントに、」

それだけを伝えてエレベーターを降りて行った。

緋山side

仕事もひと段落して、斎藤さんの元を訪れると

そこにはビリビリに破られた同意書があった。

斎藤「やらないから、手術。簡単に言わないでよね、

そりゃアンタらさっきみたいに毎日毎日やってんだろうけど、

こっちは初めてなんだからね、」

彼女の言葉が今の私にも被っていた。

緋山「そうだよね、」

斎藤「えっ？」

緋山「そりゃ怖いよね、身体にメス入れるんだしね...

それに失敗する確率だってゼロじゃないし、」

私だって、怖い。

斎藤「何てこと言うの、怖いこと言わないでよ」

緋山「だってそうじゃない。だいたい確率とか可能性って言うけど、

例え失敗する可能性が1％だったとしても失敗しちゃったら本人はそれが全てでしょ」

馬鹿正直にそう言った私に彼女は『脅し？脅迫？』と笑って言った。

緋山「私はあなたに元気になってもらいたいだけ。

せっかくあんな事故現場から生きて戻ってこれたんだもん、

元通り元気になってもらいたい。

でも、それとこれとは別。あなたが手術を怖がる気持ちもよくわかる、

だからやりたくないならやらなくていい。

ただ...元気っていいなぁ、ってつくづく思う」

病気になって、毎日笑ってる桃田や

心配してくれているからこそ突っかかってくる白石が羨ましかった。

緋山「当たり前だけど...」

紙クズになった同意書をまとめてHCUを後にした。