当直 ページ5
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桃田side
今日は初めての当直
当直担当は私と藍沢先生と黒田先生。
なかなか片付かないカルテ整理に頭を抱えていると
黒田先生から声がかかった。
黒田「藍沢ー、桃田―。ラウンド行ってこい、」
藍沢「わかりました、」
「あ、はい。」
返事をすると藍沢先生はすぐに医局を後にし、
私は慌ててデスクの引き出しから懐中電灯を取り出して彼を追いかけた。
「えっ、暗っ...」
消灯時間をとっくに過ぎた廊下は真っ暗で聞こえるのは私たちの足音だけ。
前の病院では廊下は電気付きっぱなしだったから夜の病院の不気味さを改めて感じた。
藍沢「おい、」
「ひぃっ!!ちょ、ちょっと脅かさないでよ!!」
藍沢「静かにしろって。何、怖いの?」
「こ、怖くないし...」
藍沢「なら向こうの部屋から見てきて、
その方が効率が良いから」
そう言うと彼は一人で先へと進んだ。
これって勝手に電気付けてもいいのかな...
いや、どう考えてもダメだよね...
懐中電灯があるとは言え、その灯りは僅かなもので
暗い廊下を前に私の足は竦んだ。
「...っ耕作!」
藍沢「だから静かにしろって、」
「ご、ごめん...」
藍沢「何、」
「あの...一人にしないで...」
僅かに照らされた明かりで彼の顔色を窺うと
暗闇でもわかるくらいに呆れた表情をしていた。
藍沢「早く来なよ、」
呆れながらもそう言ってくれた彼のもとに私は駆け寄った。
藍沢「お前な、こんなので怖がっていてこれから先どうするんだよ」
「な、慣れる...」
藍沢「何年かかるだろうな、」
「う、うるさいなぁ...」
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作者名:愛音 | 作成日時:2020年7月4日 12時