【四肢麻痺】 ページ34
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藍沢side
「今朝外来に来た人どうだった?」
エレベーター内で桃田は白石が外来担当をした患者の話を聞いていた。
白石「吐血したから黒田先生が内視鏡検査したんだけど、
胃も十二指腸も綺麗だったの...」
藍沢「出血性ショックもなしか...タール便は?」
白石「出てない。何か珍しい病気なんじゃないかな...」
となると、また入院か...
空けるどころか一つも空かないままベッドは埋まっていく
「ヘリで運ばれた患者さんは?」
藍沢「個室に入ってる、これで空きベッドがゼロになった。」
「あーあ、(笑)黒田先生に怒られるよ、」
藍沢「あぁ。白石も早く原因見つけて転院なり退院なりさせてくれ、」
桃田たちと別れてナースステーションに戻った。
緋山side
ヘリで運ばれたレントゲン写真を確認する西条先生から最悪の言葉が飛び出した。
西条「頸髄がC5でやられてる、
_______________四肢麻痺だ、
首から下は動かないし、何も感じない。これから先もずっと、」
まだ21歳なのに...
思わず顔が歪む
西条「家族は?」
緋山「もう、見えてます...」
西条「参ったなぁ、オペが入ってるんだ」
緋山「こちらで伝えておきます、救命の患者ですから」
西条「そう?じゃあ、頼む」
そう言い残して西条先生はオペ室に向かった。
私にちゃんと伝えられるかな...?
不安を胸に飯田さんの病室を覗くと、川で一緒に遊んでいた友人と
家族と、楽しそうに談笑する彼の姿が目に入った。
その姿を見ると、とても残酷な現実を伝える気にはなれず
病室を後にしようとした。
飯田母「先生、」
病室に背を向けた私を飯田さんのお母様が呼び止めた。
飯田母「この度はどうも、ありがとうございました」
そう言って頭を下げる彼女につられて私も頭を下げる
緋山「詳しい検査の結果はまだですが、
頭の手術は上手くいきました、」
咄嗟にそう嘘をつくしかなかった。
私の言葉に笑みを零す母親と友人、
飯田母「ホント、よかった...」
これ以上は見ていられず、私は足早に病室を去った。
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作者名:愛音 | 作成日時:2020年7月4日 12時