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【忘れてしまう怖さ】 ページ23

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白石side




朝から私は本山さんに同意書にサインをするように説得をしていた。




白石「本山さん、手術しましょう?


いつまでも忘れられないと苦しいでしょう?」




由希子「違うんです...」




また『違う』か...




私はその理由を知りたいのに...




由希子「忘れられないから苦しいんじゃないんです


忘れるから苦しいんです...」




由希子さんの言葉にご主人も目を伏せた




由希子「直也が亡くなって...確かに最初の3ヶ月は本当に苦しかった


でも1年も経つと夜ご飯何食べようかな、とか考えてる自分が居るんです...


あんなに悲しかったのに...


悲しかったはずなのに...


どんどん忘れていくんです


不条理な自分に気が付くとゾッとするんです...」




由希子さんはそう言って涙を流した。





緋山side




婦人科のベッドに空きが出たことを若杉さんに伝えにやってきた




若杉「ぶっさいくね、今日」




緋山「生まれつきです、」




顔色一つ変えずにそう返す




若杉「オペがあったんだって?


他人の病気は治しながら自分は寝不足で倒れそうな顔してる


報われない仕事ね、」




緋山「でも...辞められないでしょ?


弁護士も。一緒ですよ、」




そう言うと若杉さんは笑った。




若杉「で、何?今日から婦人科に移れるんですって?


残念だったわね、急変しなくて」




緋山「いえ。


...良かった、」




分厚い本を読んでいた若杉さんが顔を上げ私と目が合った。




緋山「卵巣の茎捻転は決して軽い病気じゃない。


無茶しないで、今はしっかり治してください。」




そう言って手を差し出すと思いが通じたのか、その分厚い本を私に渡した。




若杉「その程度でホロッとするほど弁護士は甘くないよ、」




緋山「残念、流石です。だったら話は早い、


移動まであと2時間ある。


さっさと急変してください、」



自分でもとんでもないことを言ってるのはわかった




若杉「今の発言、訴えるわ」




気の強いもの同士、こんな冗談を言い合えるぐらいには仲良くなれた。

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作者名:愛音 | 作成日時:2020年7月4日 12時

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