答えようもない問いかけ1 (ページ30)

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【握手】ページ30

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白石side

ヘリの出動要請があるわけでもなく私が居る場所はヘリポート

昨日、何も出来なかった自分を振り返って

自分は救命医に向いてないんじゃないか、なんて考えばかりが頭を過ぎる

ヘリを見つめていると急に頭がグラッと揺れた

梶「なーにやってんだ、お前(笑)

サボるには1000年早いんじゃないの？」

操縦士の梶さんに言われて慌てて院内に戻ろうとするも引き止められた

梶「おい、

大丈夫か？お前、」

そう声を掛けてくれた彼に一礼をし、

少しだけ笑みを見せてヘリポートを去った

藤川side

栗山さんをオペ室に運ぶ際の絵エレベータの待機中に声を掛けられた

栗山「ねぇ、今日あの人は？

あのかっこいい先生と綺麗な先生、」

藤川「あぁ...かっこいい先生は今日ヘリ担当でさ。

綺麗な先生は外来で患者診てるけど？」

栗山「綺麗な先生はヘリ担当じゃないの？」

藤川「ヘリに乗れるフェローは1日一人なんだ、

アイツは明日ヘリ担当だよ」

そう返事をすると『また先越された、』と彼女は笑った

栗山「ダメじゃん、顔だけじゃなく腕でも負けてるんだ？」

確かにその通りだ、と返す言葉もなかった。

そんな彼女の視線まで腰を下ろし、話を繋いだ

藤川「ドクターヘリってさ、最後の砦なんだ。

どんな患者でも必要とされるなら行く、絶対に逃げない。

それがドクターヘリだって。

俺は...フライトドクターになるよ、絶対に。

この手でその夢掴んでみせる

俺は...諦めない、絶対に」

俺の想いが通じたのか彼女は右手を持ち上げて言った。

栗山「握手して？

最後の握手、」

彼女の右手を手に取り、両手で包んだ

栗山「私も...この感触忘れない、ずっと」

藤川「あぁ、」

栗原「...マジ顔すぎ、(笑)」

そう言って笑う彼女につられて俺も笑いが零れた