【彼女】 ページ41
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藍沢「段差が少しクッションになっているので2人の全体重が乗ってるわけではないですが...」
森田さんに説明を行う隣で松井さんは西条先生のスクラブの色が違うことに注目していた。
松井「救命じゃないんだ、」
橘「脳外科だけは救命でも手が出せない、
だからこうやって特別に来てもらってんだ。
まだキミたちは動かせないからね、」
そう言われて彼は『脳外科ってやっぱり難しいんだ、』と呑気に返事をしていた。
元気な患者だ、と思っていたら彼は『降ろしてくれ、』と動き始めた。
三井「動かないで!」
橘「キミは骨盤にスキー板が刺さっている。
今はその板が大きな血管の傷を塞いでいるが、少しでも動いたら大出血だ」
松井「え、俺そんな重症なんすか?でも全然痛くないんですけど、」
藍沢「アドレナリンが出てるんだ。それに鎮痛剤を打ってある、」
そう伝えてもなお、彼はヘラヘラと余裕を見せていた。
松井「前歩いてたおっちゃんが剥き出しでスキー持ってたんすよ、」
木沢「それで、階段がギューギューになって...
気が付いたら後ろから雪崩みたいに押されて...」
木沢さんと森田さんは仰向けに串刺しになっているのに、松井さんだけがうつ伏せなことに
三井先生は『逆ですね、向きが』と言った。
松井「あ、俺っすか?まぁ、何つうか...
危ないって思って咄嗟に振り返って、それで支えようとしたって言うか...」
三井「木沢さんを?」
松井「いやぁ、気持ち悪いこと言わないでください。
あの...恵理をです。そしたら後ろにコイツが居て、」
松井さんの言葉に森田さんは目を泳がせていた。
西条「彼女?」
松井「俺たち付き合ったばっかりなんですよ、
それでこんな目に...」
三井「そう、」
松井さんが森田さんを守ろうとしていたなら、
何故木沢さんが彼女の後ろに居たのか、不思議だった。
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作者名:愛音 | 作成日時:2020年10月30日 10時