素敵な明日を願って...1 (ページ34)

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【誰かのためなら】ページ34

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藍沢side

ICUで田沢さんのモニターを調整していると音に気づいたのか彼はゆっくりと目を覚ました

藍沢「すいません、起こしましたね」

田沢「いや、いいさ」

俺はずっと彼のことで気になっていることがあった。

藍沢「どうしてそんなに普通で居られるんですか？」

田沢「...普通？普通に見える？」

少しだけ頷くと彼は『良かった、』と口にした

田沢「やれることが毎日減っていく...

でも愚痴ってるひまに死んじゃうんだよ、

だったら...こんな身体だけど

こんな身体で出来るベストを尽くしたい、

そう思わないか？」

藍沢「でもそれを出来る人は少ない、」

田沢「そうだよな...自分のためなら難しい、

でも、誰かのためなら出来るだろう...？」

そう言う田沢さんの視線の先には冴島が居た

白石side

翌日、弓子さんが改めて手術の礼を言いにナースステーションに顔を出していた

白石「ご主人はあれから...？」

弓子さんは首を横に振った

弓子「私のこと分からないみたい

『親切にして頂いてありがとうございます、』だって」

彼女は力なく笑った

白石「でも...まだ先は長いですし...」

弓子「ありがとうございました、」

白石「あの、ご主人から伝言が...」

伝言を伝えようとした私を遮ったのはナースの辻さんと

治さんの声だった

彼は弓子さんの顔を見ると軽く会釈をした

北山「あ...すいません、」

そう言うと彼は弓子さんを呼び寄せた

北山「あの...昨日お会いしたばかりですけど...

僕と...一緒になってくれませんか？」

彼は膝を震わせながらそう言った

治さんの言葉に弓子さんは涙を流した

二人の薬指にはリングが輝いていた