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【口下手】 ページ28

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藤川side




医局のソファーで小さくなっていると電気も付いていない部屋に俺がいるとは思わなかったのか、




梶さんが大袈裟に驚きながら電気を付けた




藤川「初めてなんです、」




梶「...何が?」




藤川「褒められたの、ここに来て初めてなんですよ...」




梶「そうなの?可哀想な奴だな、」




未だに橘先生に褒められたことに実感が湧かないけれど嬉しいのに違いはなかった。




藤川「よかったー...今までやってきて」




そんな俺の向かいの椅子に梶さんは腰を掛けた




梶「そうか、褒められたか...


良かったな、」




梶さんが持ってきた缶コーヒーと俺が買っていた缶コーヒーのプルタブを起こし




2人で乾杯をした。





白石side




北山さんの同意書を眺めながら冴島さんに言われた一言が頭の中をグルグルと回っていた。




「あ、同意書貰えたの?」




大量のカルテを抱えて戻ってきた桃田先生に声を掛けられた




白石「うん...」




「記憶がなくなるかもしれないんだよね?


弓子さんのこと、忘れないといいなぁー...」




白石「私のオペの説明、ズルかったかな...」




「そんなことないんじゃない?


ちゃんと伝えたんでしょ?」




白石「そうだけど...」




本当にこれで良かったのか、納得がいかないままだった。




翌日、オペ室まで弓子さんは治さんの手をずっと握っていた




白石「これ以上は入れませんので...」




そう言うと弓子さんは握る手に力を込めた




弓子「お父さん、」




でも治さんはそんな弓子さんの手を払い除けて彼女を見ることもなかった。




北山「お願いします、」




オペの準備中、ストレッチャーに乗った彼は私に言った。




北山「万が一の時は女房に伝えてほしいんですけど...


口下手だから言えなかったけど、俺の人生にはお前しかいない


例え生まれ変わっても、また一緒になりたいって...」




白石「わかりました、」




桃田先生も言ってたけど、治さん記憶残ったままだといいな...

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作者名:愛音 | 作成日時:2020年10月30日 10時

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