素敵な明日を願って...1 (ページ27)

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【変わった】ページ27

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冴島side

自販機の前で座っていた弓子さんにコーヒーを差し出した

彼女の手元にはサイン済みの手術の同意書

冴島「お決めになられたんですね、」

弓子「一目惚れだったの、向こうの」

弓子さんは照れ臭そうにそう言った。

弓子「会って次の日にプロポーズ、

『僕と一緒になってもらえませんか？』って、

膝がね、ちょっと震えてたわ」

冴島「そうですか、」

弓子「後にも先にも『僕』なんて言ったのはその時だけ。

この1週間なんて『おい、お茶』『おい、飯』...これだけ

灰皿も投げたくなるでしょ？」

確かに、気持ちはわからなくもなかった

弓子「あなた、恋人いる？」

そう尋ねられて少し考え、『はい、』と返事をした。

弓子「喧嘩して別れようと思ったことは？」

冴島「あります、」

弓子「そう、ならわかるわね

いざ別れようと思ったらいいことしか思い出せないのよね...

ホント、ズルいわ...」

そう言って弓子さんは同意書を握りしめた

冴島「手術を辞める、という選択もあると思います

手術をしたら記憶もなくなる可能性も高い、

プロポーズの思い出も失う、元のご主人じゃなくなる

それよりも、短くても今のご主人と一日一日を...」

白石「冴島さん、」

個人的な気持ちが爆発していた私を止めたのは白石先生だった。

白石「患者さんが決めることでしょ？それに、」

冴島「看護師が何言ってるんだ、ってことですか」

3年前は私に意見ばかり求めていた白石先生はもういない

白石「とにかく。あとは患者さんと、」

冴島「変わりましたね。前はそんなに冷たくなかった、

頭でっかちのお嬢さんだったけど温かみがあったわ、」

それだけを伝えて私は彼女の元を去った。