【嫌いじゃない】 ページ14
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緋山side
ICUで眠る弘樹くんを自分と重ねた
医局でパソコンに向かう橘先生にそんな思いを伝えた
緋山「諦めたくないんです、
私もあと数分発見されるのが遅ければ今の弘樹くんと同じでした」
でも私は助かった、なら彼も...
橘「おいおい、それが人生だろ?
ほんの少しのタイミングが人の一生を左右する、
あと5分早くウチを出てれば、あと少し病院が近かったら
言い出せばキリがない。あぁ、恋愛と一緒だよ。
出会いはいつも偶然だし、恋はいつだって不条理さ」
緋山「ふざけないでください、」
橘「...なら言おう、
救急医を続けたいならそろそろ覚えろ。
諦めたり、割り切ったりするってことをな」
橘先生の一言が酷く私に現実を突きつけた。
藤川side
緋山が橘にガツンと一言意見をしてきた、という話を本人から聞いた
藤川「...で?」
緋山「で?」
藤川「それでおめおめ帰ってきたのかよ?
かぁー、らしくないなぁ。言われっぱなしじゃねぇか
何だかんだ言って結局自分のやりたいようにやる、それがお前だろ?違うか?」
緋山「...褒めてる?けなしてる?」
藤川「両方だよ、」
そう言うと緋山は礼を言った。
藤川「上にごちゃごちゃ言われたって関係ねぇよ、
俺たちは俺たちのやりたいようにやりゃあいいんだ。
俺はやるよ、まだ諦めてねぇから」
白石side
藤川先生の言葉を聞いて米田さんを一晩だけICUに案内することにした。
白石「あの、余計なことだったでしょうか」
彼女をICUに運びながらもふと、我に返り
思わずそう尋ねた。
米田「いえ...
あの子には父親が居ないんです、だから私が付いていないと...
ありがとうございます、」
弘樹くんの隣に運び終えると彼女は弘樹くんに触れながら何度も謝っていた。
その光景を見て、やっぱり後悔した
白石「返って辛い思いをさせちゃったかな...」
冴島「...かもしれません、」
冴島さんは相変らず素直に思ったことを言った。
冴島「でも、嫌いじゃないです
白石先生のそういうところ、」
珍しくそう言われて少し戸惑った。
白石「ありがとう、手伝ってくれて」
暗い廊下を2人、並んで歩いた。
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作者名:愛音 | 作成日時:2020年10月30日 10時