素敵な明日を願って...1 (ページ2)

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【後任】ページ2

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救急医になって最初に覚えたこと

救命の世界に奇跡はない、ということ

突然の怪我や病が容赦なく人を襲い、不条理に人生を変えていく

愛と勇気だけでは患者は蘇らない。

助けるのは術者の技術とエピネフリン

そう、救命の世界に奇跡はない。

桃田side

田所部長に呼ばれて部長室を訪れると

そこには黒田先生の引継ぎの指導医、橘先生がいた。

橘「藍沢耕作、冷静で腕はいいが協調性なし。

白石恵、豊富な医療知識を持つが積極性にやや欠ける。

緋山美帆子、負けず嫌いで努力家。1年前救護作業中心破裂の重傷を負い2カ月のブランクあり。

藤川一男、フェローのムードメーカー。技術、知識共にやや遅れを取っている」

部長室に入った時、彼は私たちの履歴書に目を通し

各々の特徴を述べていた。

橘「で、キミが黒田先生が腕を認めた」

「...腕を認められたかどうかはわかりませんが、

桃田Aです。よろしくお願いします、」

一言添えて頭を下げた。

橘「フェロー卒業の認定は私に一任していただく、

という形でよろしいんですよね？」

田所「えぇ。正式なスタッフドクターになるにふさわしいかどうか

この3ヶ月でじっくり見てください」

緋山side

朝のカンファレンス、そこにヘリ担当の藍沢と何故かA姿はなかった。

三井「2Bの谷さん、急性腎不全。CHDF中ね、状況は？」

三井先生のカンファレンスに耳を傾けながらも視界の先には

私たち、フェローのドクターヘリ出動合計のグラフと票。

トップは藍沢と桃田の116回、次いで白石の111回、

最後までヘリに乗れなかった藤川でさえも107回

でも私は...79回、

2カ月のブランクがあるとはいえ、マズい状況だった。

三井「以上、私と緋山はICUから行くわ」

藤川「俺と白石でHCU行ってきます、」

三井「お願い、」

ICUで患者の処置中、今日から着任する橘先生のことを知っていると三井先生から聞き驚いた。

緋山「知ってるんですか？」

三井「うん、まぁね。本院で一緒だったから、」

緋山「どんな先生ですか？腕は？」

食い気味に聞いた私に三井先生は少しだけ笑った

三井「何？随分気にしてんね、評価に自信ないの？」

緋山「全然、聞いただけです」

三井先生は私にレントゲンのオーダーを出すように指示を出して

ICUを後にした。