その柔らかな笑顔に触れて...4 (ページ45)

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【桃田不明】ページ45

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「翔くん、数はいくつまで数えられる？」

翔「1000...」

「おぉ、すごいじゃない(笑)

じゃあね、一歩歩くたびに数えてごらん？

1000までを2回、そしたらきっと駅が見えてくる」

翔「でも...真っ暗だよ？」

そう言われて私は胸ポケットからペンライトを取り出した。

「これ、翔くんにあげる。小さくてごめんね？」

ペンライトを渡すと翔くんは周りを照らして見せた。

「あれ？1000数えられない？」

翔「...数えられる！！」

「じゃあ大丈夫よ？さぁ、行って？」

翔くんは1から数を数えながら線路に沿って歩き始めた。

「そうよ...

その調子...」

翔くんの遠ざかる背中を見つめながら私は朦朧とする意識と戦った。

こんな時、いつも思い出すのはあの人の顔

「耕作、助けて...」

白石side

あれからしばらく経っても桃田先生からの返事は聞こえることなく時間だけがただ過ぎていく

私はレスキューからの情報を聞き、今の状況を必死に理解していた。

その時、別のレスキューがやってきて未だ情報のない辻が谷駅側の現状報告が入った。

レスキュー「被害、かなり大きいです

亡くなっている人もいると言うことです」

その言葉に胸がドクンと嫌な音を立てる

まさか...桃田先生は生きてるよね...？

レスキュー「浅間消防と永井北消防、辻が谷駅に向かいます」

白石「医師と看護師も派遣します、

横峯先生、冴島さん。辻が谷駅で待機して？

安全確認取れ次第、崩落現場へ向かって、」

横峯「はい、」

彼女たちに指示を出して他の病院の先生にも指示を出す。

冴島さんはホワイトボードの‶桃田不明″の文字を見て不安そうな表情をしていた。

白石「大丈夫、桃田先生はきっと大丈夫よ」

私にはそう言うことしか出来なかった。

お願いだから無事でいて...