その柔らかな笑顔に触れて...4 (ページ41)

今日:168 hit、昨日:152 hit、合計:510,779 hit

結婚したい... ページ41

.

藍沢side

アイツが家に来てから1ヶ月、俺の家は確実に汚部屋に近づいていた。

アイツは昔からそうだ

何でも器用に熟すくせして片づけだけは何故か出来ない。

玄関から脱ぎ捨てられた衣類を一つずつ拾いながら辿っていくと

散らかったリビングに部屋着姿のAの姿があった。

こんな調子で一体アメリカでどうやって生活していたのか

不思議でたまらない。

藍沢「おい、」

「あ、おかえりー」

藍沢「片付けろ、」

「それが出来たら苦労しないよねー(笑)」

2、3日忙しくて家を空ければこれだ。

そろそろハウスキーパーでも雇うか？

藍沢「お前、向こうでどうやって生活してたんだ」

「彼氏が掃除してた、」

藍沢「...弁護士のか」

「そうそう、よくご存じで(笑)」

藍沢「忙しいのに大変だな、彼氏とやらも」

「そんなところでさえも愛しかったんだってさぁー

すごいね、愛の力って」

『まぁ、元彼だけど』と彼女は力なく笑った。

藍沢「どうして別れた、」

「だから言ったじゃん。『仕事辞めてくれ』って言われたの

このご時世にだよ？笑えるでしょ、(笑)」

藍沢「そう言われてあっさり別れるほどだったのか、」

「その逆、

好きだったからこそ幻滅した...」

床一点を見つめながら彼女はポツリと呟いた。

「でもね、私が日本に戻ってからすぐ元カノとより戻して結婚したんだってさ！」

何と返せばいいのか俺にはわからなかった。

「結婚したい...」

急に黙り込んだ彼女を見ると一筋の涙を流しながら眠っていた。

藍沢「もう少しだけ待ってくれ...」

静かな部屋に俺の弱い声だけが響いた。