【憧れ】 ページ37
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説明を終えた私は耕作をヘリポートに呼び出した。
「恵ちゃんから聞いた、トロントの話。
奏ちゃんのことで責任を感じるのもわかる
でもそれでトロントに行かないのは違うと思うよ」
藍沢「彼女が今一日のほとんどをリハビリに費やしているのはお前も知っているだろう
ただ普通の生活を送るためだけのリハビリだ。
もう一度夢を追いかけるためのリハビリじゃない。
このまま俺だけが夢を追うわけにはいかない、」
彼の言っていることが理解できないわけではなかった。
藍沢「緋山も居なくなるし藤川も家族のことを考えたら
この先救命に居るかどうかも分からない。
お前はお前の心配をしろ、」
そう言って立ち去ろうとする彼を呼び止めた。
「同情で残られても嫌！
今貴方のキャリアを奪ったら私は貴方に何も言えなくなる
せっかく近くにいるのに遠くなる、そんな関係に私はなりたくない。
いつからそんな風になっちゃったの？
9年前の耕作は違った
誰よりも良い医者になる、そのためなら周りとの摩擦も厭わない。
そこに私たちは憧れた...
何かの所為にして楽な道を選ばないで。
耕作が居なくても私と恵ちゃんが居れば救命は大丈夫
...違う、耕作が居ない分強くなろうとする。
きっと奏ちゃんだってそう。
耕作はトロントに行くべきなんだよ...」
そう言った私を彼は何も言わずにじっと見つめ、ヘリポートを立ち去った。
少しでも私の...いや、私と恵ちゃんの思いが彼に届くといいな
白石side
朝のカンファレンスが終わると同時に鳴り響くホットライン
すぐさま桃田先生はCSと連絡を取り私に向けて親指を立てる。
白石「出動します、」
そして私たちは今日も現場に向かう。
この後、まさかあんなことが起こるとは知らずに...
負傷者多数、と聞いて橘先生を残して全員出動することを決めた。
白石「ヘリが戻ったら私も出動します。緋山先生と名取先生もお願い、」
緋山「わかった、」
藤川「了解、」
白石「横峯先生と灰谷先生、雪村さんもそのあと来て」
雪村「はい、」
横峯「わかりました、」
橘「...白石、」
橘先生に名前を呼ばれ顔を上げる
指さす先には俯く灰谷先生が居た。
そんな彼を見て思い出す。
白石「ごめん、灰谷先生は残って」
灰谷「すいません、」
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作者名：愛音
x他1人 | 作成日時：2020年5月29日 17時
