その柔らかな笑顔に触れて...4 (ページ32)

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【運命】ページ32

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白石「脳が腫れてきた...」

新海「内減圧する、マイクロクーパー」

静かなオペ室に心停止のアラームが鳴り響いた。

助けられなかった。

ICUを出ると白石は涙を流した。

両角さんと約束をした分、責任感を感じているのだろう

新海「このケースはやりようがない。仕方がなかったんですよ、」

白石「さっきまでトレーニングしてて

次のパラリンピックにも出るつもりだったのに...」

新海「皮肉ですよね、

生涯を乗り越えてここまで来たのに14年前の事故の日から

彼が今日死ぬことは決まっていた...」

白石「悔しい...」

藍沢「必要以上に責任を感じることはない、

医者が出来ることは限られてる」

新海「その言葉、理解すべきはお前だろ」

新海は呆れたように笑いながらそう言った。

新海「患者のことで必要以上に責任を感じてるのは誰だ、」

そう言い残してアイツは立ち去った。

橘side

タイムリミットまであと10分

どうしようもない思いで俺はアイツに相談をした。

桃田「すいません、遅くなってしまって...

どうしたんですか？」

桃田に祐輔が移植を拒んでいること、その理由を全て話した。

橘「実際に移植を受けるのは祐輔なんだ。

移植後も厳しい治療はずっと続く

人の命を貰ったという責任も重い。

その上、アイツがずっと後悔したまま生きていくと思うとあまりにも辛い...」

俺が弱音を吐くと彼女は俺の目を真っすぐ見て言った。

「何言ってるんですか、

親が子どもを信じなくてどうするんですか？

緋山先生が患者の家族に訴えられた時、何て言ったか覚えてますか？

『逃げるな、オペをしろ』

あの時橘先生は緋山先生以上に緋山先生を信じたんじゃないですか？

祐輔くんもいずれ必ず理解します。橘先生の気持ちを...

急いでください、もう時間ないですよ」

桃田と別れ、小児科に向かいながら井上に電話を掛けた。

橘「移植ネットワークに連絡してくれ。移植を受ける、」

井上『祐輔くんは受け入れたのか？』

橘「俺がそう決めた、」

井上『わかった、』