【PTSD】 ページ30
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ICUで処置をしながら藤川先生は藍沢先生のトロントの話を続けた。
藤川「藍沢、らしくないよな。トロント行き断るなんてさぁ、」
白石「そうね...」
藤川「アイツ、意外と救命のこと心配してくれてるのかもな」
白石「でも救命に来たのは頭部の症例数稼ぐため、って言ってたし
それに救命は今はちゃんと機能してる、フェロー達も育ってきた」
藤川「藍沢の目からしたらまだまだだろ。
灰谷も本格復帰はまだ無理そうだしな、」
...灰谷先生？
なんで？今日のミッションも熟したはずじゃ...
そう思っていると藤川先生が慌て出した。
藤川「終わりましたよぉー！」
白石「どうして？
さっき両角さんの現場診療だってちゃんと出来てたでしょ？」
少し間を置いて藤川先生は今朝のことを教えてくれた。
藤川「アイツ、現場に無線連絡出来なかったんだよ。」
白石「どういうこと？」
藤川「...ヘリの事故、
今でも自分の無線が引き金になったと思ってる
ヘッドセット着けて喋ろうとしたらガタガタ震え出した、」
それって...
藤川「復帰してからもずっと症状はあったらしい...
PTSDだろうな、」
灰谷先生の症状に気づいてあげられなかった自分が無念で仕方なかった。
白石「じゃあ無理に乗せるのは良くないよね...
ちょっと本人と話してくる、」
カルテを片手に灰谷先生の元に向かおうとした私を藤川先生は呼び止めた。
藤川「はるかもさ、俺に何かあったらって不安になってる
最近特に色々あったからさ」
白石「そう...」
藤川「俺にフライトドクター辞めて欲しいっぽいんだ
どこまで本気かわからないけど、」
白石「冴島さんは田沢さんのことや流産の件もあったから...」
藤川「自分はあんな死にそうな目に合ってるのに
フライトナース続けてるのにな、」
白石「自分が傷つくよりも大切な人が傷つく方が辛いのよ、」
藤川「参ったよ、愛されちゃってるから(笑)」
藤川先生はいつも通りヘラヘラ笑って見せた。
白石「何、惚気話じゃない(笑)」
私はICUを後にして灰谷先生を呼んで話を聞いた。
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作者名：愛音
x他1人 | 作成日時：2020年5月29日 17時
