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【お父さんが大好きだから...】 ページ28

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白石「凄いですね、


7年連続日本一なんですよね?両角さんのチーム、


そこのエースって...」




両角「いやいや。ああ言ってくれてますけど、もうエースって言われるのも何だか...


年ですよ、実際」




あれ?私なりに褒めたつもりだったんだけど...




マズかったかな...




申し訳なさそうな顔をしていると両角さんはすぐさまフォローしてくれた。




両角「でもね、そのおかげでやっとチームに貢献できるようになったんですよ


昔は『俺にパスよこせ、どうにかしてやるから』ってそんなプレイばっか...


今はパスを出す面白さも覚えた。仲間の良さを引き出す楽しさも知った。


今はチームでプレイするのが楽しい


これからなんですよ、俺は


だから先生、早く治してください」




前向きな彼につられて力強く返事をした。




橘side




井上と別れて俺たちは相変らず俺たちは祐輔の説得をしていた。




橘「お父さんに言いにくいならお父さん、お母さん


井上先生でもいい。お前の不安をみんなで解決してあげたいんだ」




そう言うと祐輔は重い口を開いた。




祐輔「...お父さん、


僕ね、前に学校で『将来の夢』って作文を書いたんだ。


『お医者さんになりたい、』って書いた。


困っている人が居たらグイグイ手術してみんな助けちゃうような...


そんなお父さんみたいなお医者さんになりたい、って」




祐輔の夢を初めて知って驚いたが同時に嬉しかった。




祐輔「僕ね、お父さんが好きなんだ。」




橘「...なら、何で


どうして移植を受けてくれないんだ?」




祐輔「お父さんが大好きだから...」




しばらく間を置いた後、再び祐輔は口を開いた。




祐輔「僕が心臓の病気になってお父さんは変わった。


僕と同じ年くらいの子どもが怪我した、って聞くと


詳しく調べたり、新聞の隅に載っている子どもの死亡記事を探したり...


お父さんは他の子どもが死ぬのを待つようになった、」




祐輔はこちらに目を向けながら俺に尋ねた。




祐輔「今回移植しても上手くいかなかったら?


また次の移植を待つ?


僕が死ねばお父さんは元のお父さんに戻れる


僕の大好きなお父さんに戻れる...


僕は移植を受けない、」




祐輔が移植を受けたがらない理由が俺自身にあったことを知り言葉を失った。

【辞退】→←【エース】



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作者名:愛音 x他1人 | 作成日時:2020年5月29日 17時

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