その柔らかな笑顔に触れて...4 (ページ25)

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冴島「今朝の灰谷先生見てちょっと怖くなった。

事故で傷ついて立ち直れてない、みんな何があってもおかしくない。

今度有毒ガスを吸って意識不明になるのは貴方かもしれない、」

はるかの言葉から彼女の焦りは伝わり、俺は何も返すことができなかった。

冴島「...ごめんなさい、忘れて？」

そう言い残すと彼女は立ち去った。

横峯side

雪村さんに背中を押されて備品倉庫に足を運ぶと

この前と同じ場所に座り込む灰谷先生の姿があった。

雪村「横峯先生の担当でしょ？」

横峯「担当って...患者じゃないんだから、」

雪村「今朝のフライトで藤川先生に気づかれちゃったんだって

ヘッドセットのこと、」

それを聞いて何となくの予想はついた。

でもそれは確かではない。

横峯「私ヘリ一緒に乗ってないから状況わかんないもん。

そっちが聞いてあげなよ、」

雪村さんの手を引っ張って彼女を前にするも『私も嫌だ、』と

本人を目の前にして灰谷先生のなすりつけが始まってしまった。

そんな私たちを止めたのは意外にも灰谷先生だった。

灰谷「ごめん、独りにしといてほしい

ちゃんと考えたいんだ、

この先もフライトドクターを続けるかどうかを...」

私たちはどうしたらいいかわからず備品倉庫から立ち去った。

橘side

祐輔の洗濯を終えた三井と並んで渡り廊下を歩く

橘「ウチって今貯金いくらある？」

彼女の足が止まるのと同時に俺も足を止め、彼女に向き直った。

橘「祐輔は本当によく頑張ってる、

死の恐怖を突きつけられての3年だ。大人だって耐えるのは容易じゃない、

身体もそうだけどこれ以上心も持たない。」

三井「海外での移植...？」

彼女の言葉に黙って頷いた

三井「私も同じこと考えてた、」

橘「もう限界だ...」

廊下にしゃがみ込み足元を見る

俺が限界を迎えているのだから祐輔はもっと辛いだろう。

そんなことを考えていると向こうから俺の名前を呼びながら井上が走ってきた。

井上「移植ネットワークから連絡が入った、14歳の脳死だ

両親も臓器提供を了承している、」

橘「順位は！？」

井上「リストのトップは

_______________祐輔くんだ、」

この言葉をどれだけ待っていただろう

三井と顔を見合わせ歓びを分かち合う