夕暮れきらきら。＊K.takahashi＊ (ページ36)

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° ページ36

ーー俺はその丸められた紙切れを
手に取り静かに開けば、
ノートの一部分を
やぶった紙切れに、

-最近わたしのこと避けてない？-

とシャープペンで
書かれた文字が目に飛び込んできて、
すぐに神崎のほうをみれば、

神崎は何食わぬ顔で前を見たまんまで
こっちも見るそぶりもなかった。

俺はその紙切れに視線を戻す。

本当は避けてる

ーーなんて正直なことは
書かずに、

持っていたシャーペンで、

-べつに、避けてない-

と嘘を書き、
先生が黒板に向いた
その瞬間を狙い、
その紙切れを神崎になげかえした。

そして俺もそのまま
なにもなかったかのように
また授業の内容に
耳を傾けていると、

「…いて、！」

今度は机ではなく俺の右腕に
丸まれた紙があたり、
そのまま床へと転げ落ちる。

それを拾い、
また広げれば、

-嘘っ！絶対避けてる！-

とさっきより殴り書きに
書かれた文字。

それに対して俺は、

-嘘ってなに？嘘なんかじゃねーよ-

と返せば、

-絶対うそ。わたしのこと
嫌いになった?-

と返ってきた。

その返ってきた返答に、
シャープペンを滑らせてた手が止まる。

ーーー嫌いになんかなってないし、
むしろその逆で。

でも、俺は心に秘めてるこの
感情を文字にはせず、

-そんなことねーよ-

なんて当たり障りのない返事をかえした。