夕暮れきらきら。＊K.takahashi＊ (ページ15)

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° ページ15

お互い無言のまま
廊下を歩き、屋上への階段を登る。

屋上の扉の前の踊り場で
俺は止まり、
向けていた背中を
神崎の方へと向き直る。

でもなぜか神崎も俺も
下を向いたまま
なんとも言えない沈黙が流れた。

ほんの少ししてから、
俺は下に向けていた視線を
神崎に向けて、口を開いた。

「....ごめん、無理矢理連れ出しちゃって。」

「.......う、ううん、大丈夫っ、」

俺の言葉に神崎は顔上げると
首を横にふり、そう答えた。

神崎の返しを聞いてそのまま
俺は言葉を続ける。

「....どうしたの？、...上履きは？」

「.......っ....。」

俺の質問に
また視線を下に移してしまい、
口をきゅっと結んで
黙っている。

そんな姿を見て俺はスッとしゃがみ
神崎の顔を見上げて言う。

「....ここなら誰にも聞かれないから、
大丈夫でしょ？

それゎ友達の俺にも言えない？」

ーーーー自分の口から友達というのは
心苦しいけれど、
でも今はそれ以上に、
神崎が苦しいなら、
助けてあげたいって思う。

すると、俺の言葉を聞いて、
神崎は下に向けてた視線を
俺に向けて、
一瞬泣きそうになるのをグッと堪えると、
固く結んでいた口をゆっくり緩め、
話し出した。

「.....廉ってさ、学校中の人気者じゃん？」

「....まあ、うん。王子様ともてはやされてるよね...」

「そんでね、廉の取り巻きというかファンクラブ的な子達にさ、付き合い出したって
知られた瞬間に、何回か呼び出されてね、」

「....うん。」

「その子たちにこの前言われたのっ。
廉様はみんなのものだから、廉と別れろって。」

「.....なにそれ...。」

神崎から聞いた話に、
俺は、今まであんだけ神崎のことを
目で追っていって、

こんな些細なことに
気づけなかったのか。

神崎の話の衝撃と同時に、自分に愕然とした。

「...それでね、先月までに別れなかったら
なにされるかわかってるよねって...、

.....多分それが、これなんだと思う。」

そう言うと神崎は、
力ない顔で、へへっと笑った。

そんな顔を見せられ、
俺は胸がぎゅっと苦しくなった。

神崎が俺に向けた
その弱々しい笑顔を
見てられなかった。