私の初恋。９【Shori.S】

Vict.416 ページ16

聡「お…俺はただ……」




健「ただ？」




聡「菜花ちゃんと仲直りしたくて…っ」




風「つか、何で喧嘩してたの？」




A「…聡くんがなかなかキスしないから、菜花が怒っちゃったの」




聡「ちょ…Aちゃん…！」





真っ赤な顔で慌てふためく聡くんを見て、



健人くんと風磨くんは納得したようにニヤリと笑う。




さっき、私と勝利くんがホテルへ行った事を皆に喋ったから…その仕返し(笑)





風「つまり、菜花ちゃんにキスしたおかげで仲直り出来たわけ？」




健「聡、やるじゃん」




聡「っ…！もういいじゃんその話は…！」




風「否定しないって事はそうなんだ？(笑)」




健「ファーストキス卒業おめでとう」




二人にさんざんからかわれ、聡くんは恥ずかしさのあまり黙り込んでしまう。





ちょっと…可哀想だったかな？




でも私だって恥ずかしい思いをしたし、お互い様だよね？





勝「…聡、菜花ちゃんとうまくいって良かったじゃん。聡が幸せそうで俺も嬉しい」




聡「勝利くん…」




勝利くんの言葉に、聡くんは照れくさそうにはにかむ。





マ「ねぇ、“健全”って健康とか真面目って意味なの？それなら僕、当てはまるよ！」




国語辞典から顔を上げ、マリくんが明るい声で言った。





風「…あー、オメデト」




マ「風磨くんが調べればって言うから調べたのに！」




反応が薄い風磨くんに、マリくんは不満げな様子。





健「そこ、真面目に捉えるとこじゃないからね？」




マ「もーわけわかんない！」




健人くんが苦笑すれば、マリくんは拗ねたように頬を膨らませる。





風「逆ギレかよ(笑)」




健「お年頃だから反抗期なのかもね」




マ「皆と同い年だよっ！」




負けじと言い返すマリくんに、私もつい笑っちゃった。





新学期も、平和に楽しく始まりそう。






だけど、それから数日経ったお昼休み――




事件は起きた。






お手洗いを済ませ教室に戻れば、廊下に佇む亜衣ちゃんの姿。




何度か目にした、亜衣ちゃんが“誰か”を見つめる視線。





その人物はもう、私の中で大体の予想はついてる。






A「…亜衣ちゃん！」




亜「！っ…Aちゃん…」




背後からそっと声を掛ければ、ビクリと身体を震わせる亜衣ちゃん。





A「前にもそうやって、廊下から私のクラスを見てたよね」




亜「え…？」




ドキリとしたように、亜衣ちゃんは真っ直ぐ私を見た。

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