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Vict.255 ページ5

健母「健人と一緒に、3人で暮らしたいって言ってるの。もちろん私もそうしたいって思ってる。健人さえ良ければ――」




思いもしなかった展開に、健人くんは戸惑いを隠せない様子。





A「健人くん、良かったね」




私がそっと声を掛けるも、



健人くんはまだ頭が追いつかないのか、目を瞬かせている。





健「ごめん、嬉しいけど…ちょっと考えさせて。突然だったから、少し時間が欲しい」




健母「えぇ、もちろん。また改めて返事を聞くから、ゆっくり考えて」




健「…今もずっと、その人と住んでるの?」




健母「えぇ。とっても素敵な人だから、健人にも是非一度会ってもらいたいの」




健「そっか…うん、わかった」




幸せそうなお母さんを見て、健人くんは柔らかく微笑む。





健母「…それと、あなたにもお礼を言わないといけないわね」




健人くんのお母さんが、私に向き直る。





A「いえっ、そんな…私は何もしてないです」




健「何言ってんの。Aが居なきゃ何も変わらなかったし、変えられなかった。全部、Aのおかげだよ」




健人くんは感謝の意を込めて、私にそう告げた。





健母「以前、健人が私に向き合おうとした時、心から愛する人を見つけたって言ったの。女遊びもきっぱりやめたって。…あなたの事だったのね」




A「っ」




健母「…ねぇ、健人とは――」




健「母さん、Aにはイケメンの素敵な恋人が居るんだよ」




お母さんの言葉を遮り、健人くんは肩をすくめて言った。





健母「それって…もしかして、そこにいる彼?」





部屋の片隅でずっと黙り込んでいた勝利くんに、そっと視線が注がれる。





健「そうだよ。なかなかのイケメンでしょ?…俺の次に」




健母「じゃあ、健人は失恋したのね」




健「いや、スルーしないでよ(笑)てか、そんなはっきり言われるとさすがの俺も傷付くんだけど」




そう言って苦笑する健人くん。





健母「あなたの彼女は、とっても素敵ね」




そんな健人くんのお母さんの言葉に、



勝利くんはうっすらと微笑んだだけで何も答えなかった。




少し、勝利くんの様子が可笑しい気がする…。





健母「…それと、ひとつ聞きたいんだけど……どうして私が健人に“隠し事”をしてるってわかったの?」




ずっと気になっていたのか、健人くんのお母さんは再び私に向き直る。

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作者名:りん | 作成日時:2015年10月30日 10時

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