Vict.285 ページ35
それから、少し歩いて大通りに面した場所にあるカフェにやって来た。
勝利くんと二人でカフェに入るのは初めてだから、何だか緊張する…。
個人経営の、こじんまりとした小さなカフェ。
店員のお姉さんにテーブル席へと案内されると、直ぐにお冷やが運ばれてきた。
勝「何食べる？俺、結構お腹空いてるんだよね」
A「ガッツリ食べちゃう感じ？」
勝「…晩ご飯残したらお母さん怒るしデザートだけにしとく」
そう言ってあっさりと断念する勝利くんが可愛くて、思わず笑みがこぼれた。
A「私も残したら怒られるよ」
勝「やっぱり？いらないなら前もって伝えてっていつも怒られるんだよね」
A「それ、わかる。前もって伝えてって言われても、突然決まっちゃったりするもんね」
勝「今日みたいにね」
なんて、他愛もない話で盛り上がる私達。
A「…そう言えば、お母さんが勝利くんに会いたがってた」
勝「俺に？」
A「うん、家に連れて来てってうるさいの。逆にこっちが恥ずかしいよ」
勝「何で恥ずかしいの？俺もAちゃんのお母さんに会ってみたい」
A「ホントに？お母さん、きっと喜ぶよ。…でもやっぱり、彼氏を紹介するのってちょっと照れくさいかも」
案外、勝利くんも乗り気でちょっとビックリした。
勝「…俺も彼女が出来たってバレた時はすごく照れくさかったけど、今はそんな事無いよ」
A「バレた？」
勝「うん。どういうわけか、お兄ちゃんに勘繰られていつの間にか家族全員にバレた。兄弟って怖いよね」
そう言って苦笑する勝利くん。
A「そうなんだ…私も、勝利くんの家族には会ってみたいかも」
なんて、何気無く呟いたら…
勝「今度、家においでよ。Aちゃんの事、紹介したいし」
まさかの、お家に誘われちゃった。
A「勝利くん…嫌じゃないの？」
勝「何で嫌がるの。寧ろ、すごく嬉しい。Aちゃんさえ良ければ、今度遊びに来てよ」
A「…っ」
爽やかに笑う勝利くんが眩しくて、くらくらする…。
加速する鼓動には、逆らえない。
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作者名：りん
| 作成日時：2015年10月30日 10時
