Vict.277 ページ27
マ「わっ…ごめん！」
まだ一口も飲んでないメロンソーダが、
私の膝元を一瞬にして濡らす。
勝「Aちゃん大丈夫…！？」
勝利くんが直ぐ様ハンカチを取り出してくれた。
A「だ、大丈夫…。ちょっとびっくりしちゃっただけだから…っ。マリくんは大丈夫？」
マ「僕は全然平気だよ！それよりAちゃんが…」
マリくんが、泣きそうな顔でおろおろしてる。
A「これぐらい、拭いちゃえば平気だよ。それよりも、グラスが割れなくて良かった…」
さすがに勝利くんのハンカチを借りるのは何だか申し訳なくて、
ブレザーのポケットからハンカチを取り出す。
健「いや、結構びしょびしょだよ？スカートも濡れてるじゃん」
健人くんに指摘され、どうしようもない絶望感に陥ってしまう。
濡れたスカートが膝元に張り付いて、何だかベタベタする…。
勝「…俺のハンカチも使って？」
勝利くんが控えめに、ハンカチを差し出してくれた。
A「ありがと…でも大丈夫。汚しちゃ悪いし…それに、ちゃんとティッシュも持ってるから」
健「場所が場所なだけ、勝利が拭き取るわけにもいかないしね」
そんな健人くんの一言に、勝利くんは黙り込んでしまう。
聡「もー、マリってばドジなんだから」
マ「ごめんなさいー…」
マリくん、一気にテンション下がっちゃった。
しょんぼりと、肩を落としてる。
健「俺にもティッシュ貸して？テーブルと床は俺が拭いとくから」
A「…ありがとう」
使いかけのポケットティッシュを、健人くんに手渡した。
ハイソックスとローファーも、結構濡れちゃってる。
私…今、すごくメロンソーダくさいかも。
A「っ、ちょっとお手洗い行ってくるね」
そう言って慌てて立ち上がったら、
床に散らばった氷の数々に滑りそうになった。
勝「…――っと、大丈夫？」
後ろから勝利くんが支えてくれて、何とかコケずに済んだ。
A「う、ん…大丈夫。ありがとう」
ここで私までドジをやらかしたら、ほんとシャレにならないよね…。
何とか部屋を後にし、お手洗いを探して辺りを見回していると、
曲がり角で誰かにぶつかってしまった。
A「っ…すみませ――」
？「あれ、同じ学校の子だー。何年生？」
そこに立っていたのは、同じ制服を着た少しチャラそうな背の高い男の人。
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作者名：りん
| 作成日時：2015年10月30日 10時
