Vict.107 ページ7
マ「どうして謝ったの？…Aちゃん本当に誘われてなかったんでしょ？」
…ほら、マリくんはちゃんと信じてくれる。
A「謝りたくなんてなかった。だけど、あそこで言い返したら…山下さんの思うつぼだと思ったの。それに……」
マ「それに？」
A「…勝利くんに…っ、嫌われたくなかった…」
マ「………」
ホントは、もっと責めたかった。
何で？って、問い詰めたかった。
好きだから、嫌いになんてならない。
嫌いになんか…なれないよ。
だけど、勝利くんは違うでしょう？
嫌われるかも知れないという不安を、私は抱えてる。
もしかしたら、もう嫌われちゃったかも知れない。
それでも、好きなんだよ。
勝利くんの事――。
マ「…勝利くんは、簡単にAちゃんの事を嫌ったりなんてしないよ」
A「え…？」
マ「そりゃあ、さっきの勝利くんは絶対許せないけど…勝利くんは、絶対Aちゃんを嫌ったりしない」
A「…どうしてそう思うの？」
マ「んー…男の勘！」
自信たっぷりにマリくんは答える。
A「マリくんの勘って当たるの？(笑)」
私が笑えば、マリくんは頬を膨らませた。
マ「当たるもん！……たぶん」
消え入りそうな声だったが、自信無さげな語尾がはっきりと聞こえた。
ムキになるマリくんが、可愛い。
A「…当たらなくてもいいよ」
マ「え…？」
A「マリくんは、信じてくれたから」
今は、それだけで十分。
マリくんにまで信じてもらえなかったら私…きっと泣いてた。
心が折れて、自棄になってたかも知れない。
マリくんが居てくれて、本当に良かった。
マ「Aちゃん…」
マリくんの顔がゆっくりと近付いて来る。
もしかして…またキスされる？
焦って身を引こうとしたら、マリくんに笑われた。
マ「キスされると思った？(笑)」
A「か、らかったの？」
マ「ううん、キスしたい気持ちはあったよ。だけど、今のAちゃんの気持ちを利用してキスなんて出来ないよ」
マリくん…落ち着いた口調で真面目な事を言ってるのに、
さらりとキスしたい本音を認めたよね？
マ「Aちゃんの唇は、勝利くんのモノだよ！」
その言葉に、一気に顔が赤くなる。
それを見たマリくんは、満足そう。
私、さっきからマリくんのペースに呑まれてる？
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作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
