Vict.149 ページ49
勝「いや…理由になってないから。まず何でAちゃん家に行ったの？てか、何でAちゃん家知って――」
健「前にAが家へ来た時、Aを家まで送ってった事があるから。てか理由なんてどうでも良くない？それよりさ、勝利は何とも思わないの？俺がAにキスした事」
健人くんは少し苛立ちを見せた。
勝「そ…んなの……っ」
言葉を詰まらせながらも、勝利くんは真っ直ぐ健人くんを見た。
勝「…許せる訳ないじゃん…」
勝利くんの言葉が意外だったのか、健人くんは一瞬目を丸くした。
勝「健人くんは昨日休んでたから知らないと思うけど、俺…ちゃんとAちゃんに伝えたんだ。だから……俺も遠慮はしない」
健「何？俺、そんな事Aから一言も聞いてないけど？」
健人くんがチラリと私を振り返る。
A「…っ…だって、私の話をする余裕なんて無かったでしょ？」
昨日は……
健人くんのお母さんの事で頭がいっぱいだったから――。
健「……確かにそうだね。で、勝利もAが好きなのはわかったよ。だけどまだ“付き合ってない”んでしょ？」
健人くんの、意味ありげな言葉――。
健人くんも、勝利くんの“過去”を知ってる。
だから健人くんの言いたい事はわかる…。
風「俺、言ったよな？いつまでもぐずぐずAを待たせてると“誰かさん”に奪われるかも知れないって」
風磨くんが横から口を出すと、勝利くんは突然席を立った。
その勢いに圧倒されながらも、私は勝利くんから目を逸らさない。
いや…逸らせなかった――。
勝「…健人くんがAちゃんにキスしたのはわかった。だけどさ、何でAちゃんは健人くんを家へ入れたの？」
A「……え？」
不意に勝利くんに話を振られ、戸惑いを隠せない。
勝「……俺の事、好きって言ってくれたのは嬉しいよ。だけど、好きでもない男を家へ上げてキスされたのはAちゃんにも隙があったからじゃないの？」
A「………」
勝利くんの言葉が、ナイフのように胸に突き刺さる。
勝「健人くんがキスした事よりも、よっぽど大事な事だと思う。Aちゃんだって、健人くんの気持ち知ってるよね？なのに何で簡単に家へ入れたりするの？」
A「それは……っ」
もしかして私……
勝利くんに責められてる？
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作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
