Vict.137 ページ37
午後から急に雲行きが怪しくなり、
次第に激しい雨が降り始めた。
――放課後、
下校前の生徒達は小雨になるのをひたすら待っていたけど、雨は勢いを増す一方だった。
そんな中、山下さんは部活に来なかった。
どうやら、学校にも来ていないらしい。
…まだ具合が悪いのかな？
勝利くんにあんな事があって、よっぽどショックだったのかも知れない。
明日で、“最終日”なのに――。
山下さんが休んだからって、私が有利に立つわけじゃない。
だけど、明日でもう山下さんと過ごす時間も無くなるんだと思うと…
何か、変な感じ。
嬉しいとか、ホッとするとか、そういう感情は全く無い。
もしかしたら、勝利くんと過ごせる時間も明日で終わってしまうかも知れない。
教室では会えるのに、放課後も勝利くんと一緒に居たいなんて――
贅沢……だよね。
マネージャーになる事は、そんなに甘くないってわかってるのに。
どうしても、勝利くんの事ばかり考えてしまう。
…都合が良いかも知れないけど、
勝利くんも私と同じ気持ちだから私にマネージャーになって欲しいって言ったんだって、そう思いたい。
山下さんにも、ちゃんと話さないとダメだよね。
だけど、私と勝利くんはまだ付き合ったわけじゃないし…
安易に伝えて、
山下さんの気持ちを逆撫でるような事はしたくない。
山下さんだって、勝利くんの事が好きな気持ちは私と“同じ”だから。
良「――何考えてるの？」
考え事をしてたら、内田くんに顔を覗き込まれた。
すごく汗だくだったから、慌ててタオルを渡した。
良「…ありがと。俺、今ダンク決めたんだけど見てた？」
A「……ごめん、見てない――」
良「だよね、知ってた(笑)」
知ってて、わざと聞いたの？
A「…ごめんね、ぼんやりしてて」
良「そんなんじゃ評価下がっちゃうよ？」
A「…っ、そうだよね、ごめん」
内田くんの言う通りだ。
部員達が必死で頑張ってるのに、それを見てないなんてマネージャー失格だ。
良「冗談だよ(笑)ごめん、意地悪言って。謝らないで？」
A「………」
内田くん……
何か、いつもと様子が違う？
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作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
