Vict.129 ページ29
風「考えすぎだって」
風磨くんに頭をポンポンされ、一旦冷静になる事が出来た。
風「…Aはさ、勝利の事だけ考えればいんじゃね？」
A「え…」
私がキョトンとしているのを見て、風磨くんは得意気な顔で笑った。
風「俺、やっと気付いたんだよね。Aの好きな人」
風磨くん…
すごくニヤニヤしてるけど、もう皆知ってるからね？
聡くんはどうだかわからないけど。
風「昨日だって勝利の事すげー心配してたし、Aの勝利を見る目は“恋”だなって思った」
A「…今更？」
思わず、笑ってしまった。
鈍感とか、そういうのが言いたいんじゃなくて…
風磨くんの意外な一面を見た気がして、ちょっと可愛いなって思った。
…本人には絶対言えないけど。
風「その事をマリに言ったらさ、“え、風磨くん知らなかったの？”って言われた。俺、マリより鈍感だったんだな」
風磨くん、自分で鈍感だって認めちゃった。
健人くんにも言われてたもんね？
風「で、勝利とはどうなの？」
話を本題に戻され、今の現状が心に重くのしかかる。
A「どうって…」
何て答えたらいいんだろう。
風「何かAも勝利も変じゃね？よそよそしいというかさ」
A「………」
やっぱり、そんな風に見えるんだ。
風「…もしかして、勝利に告った？」
A「えっ…！」
何とかごまかそうとしたけど、
今の反応で図星だってバレちゃった。
風「…あいつ、やっぱり――」
A「え…？」
言葉を濁すように、風磨くんはそれ以上何も言わなかった。
な、んなの…？
風磨くんも、健人くんも、マリくんも…
何を隠してるの？
勝利くんに、何があったの？
何で教えてくれないの？
どうしてそんなに…悲しい顔をするの？
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作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
