Vict.128 ページ28
風「そんな暗い顔すんなよ、大丈夫だって」
A「…うん…」
風「それに…あいつは変わったから」
A「え…？」
風「Aのおかげで、あいつは変われた。…それをAが証明して見せただろ？」
A「………」
健人くんが女遊びをしなくなって、
ずっと逃げていた自分の気持ちと向き合う事が出来たのも、
健人くん自身が変わる事が出来たから。
私のおかげとか、誰かのためとか…
そんなんじゃない。
健人くん自身がその気持ちに気付いたように、
私も、私自身を変えたかったの。
風「襲われかけても、あいつに身体を張ってわからせるなんてたいしたもんだよ」
A「…その事はあんまり思い出したくないんだけど」
後悔とか、そういうのじゃない。
恐怖を感じなかったと言えば嘘になる。
だけど、今はただ恥ずかしさだけが残ってる。
いくら寸止めだからと言っても、
一歩進めば後には引き返せ無かったかも知れない。
100%健人くんを信じていても、
やっぱり何パーセントかは心のどこかに怪しい雲行きがあったと思う。
風「…あいつはAへの気持ちを認めたんだから、もう何も心配する事は無いだろ？」
冴えない私の表情を見て、風磨くんが言った。
A「…だからこそ、健人くんが心配なの。お母さんが帰って来た事で、健人くんの心の何かが変わってしまうかも知れない…」
また、振り出しに戻ったら？
お母さんと向き合う姿勢を見せた健人くんに、
何か良くない事が起きないとは言い切れない。
“もう逃げたりしないから”
健人くんは私にそう言った。
だから私は、その言葉を信じるだけ。
なのにどうして…
こんなに胸騒ぎがするんだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 529人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
