Vict.124 ページ24
勝「Aちゃんには…関係無いよ」
ほら…そうやってまた勝利くんははぐらかす。
どうして逃げようとするの？
気持ちを伝えた今でも、関係無いの？
私…ちゃんと伝えたよ？
A「…関係、あるよ…っ。私は勝利くんの事が好きなんだよ。それでも関係無いなんて言えるの…？」
そんなの、言わせない――。
もう、話してくれてもいいでしょ？
勝「っ、お願いだから…“好き”なんて言わないで……っ」
A「どうして…？」
今更そんな事、言わないでよ…っ。
勝利くんの気持ちを知ってしまった以上、
もうこの気持ちを止める事は出来ない…。
勝「俺は、Aちゃんの気持ちに応えられない…」
勝利くんの私に対する拒絶。
A「な…んで？勝利くん、“好き”って言ってくれたのに…」
気持ち…通じ合ったと思ったのに。
これ以上、前には進めないの？
A「…っ」
苦しくて、悔しくて、涙が溢れてきた。
“諦めて”って、
勝利くんの心の声が聞こえた気がした。
勝「…ごめん…」
たった三文字の言葉が、私の心に重くのしかかる。
堪えきれずにその場を離れようとした時、
勝利くんに腕を掴まれた。
勝「…行かないで」
熱のせいか、掴まれたその手は熱すぎるくらいだった。
A「っ……！」
勝利くんはズルい…。
A「…何も話してくれないんでしょう…？」
“両想い”だからといって、
何かが変わる訳じゃないんだ。
勝「…今だけ……側に居て欲しい」
“今だけ”…なんて、
ホントにズルい言葉。
だけど――
そのまま佇んでしまう私は、もっとズルい。
互いに口を開かないまま時は過ぎ、
ちょうどタイミング良く先生が保健室に戻って来た。
先生「あら、お邪魔だった？」
その言葉で、ようやく“解放”されたのだと実感する。
A「っ…先生、後はお願いします」
そう言い残し、勝利くんの顔も見ずに保健室を飛び出した。
今は勝利くんの側に居る事が辛い。
一刻も早く、その場を離れたかった。
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作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
