Vict.103 ページ3
不思議と、気まずくはならなかった。
私とマリくんが友達なのは変わらないし、
マリくんが私を好きだからと言って、距離を置くような事はしたくなかった。
マリくんだって普通に接してくれる。
今までこんなに仲良くなれた男の子なんていなかった。
マリくんも健人くんも、もちろん風磨くんや聡くんだって、私の大事な友達。
そして何より、勝利くんも“友達”――。
勝利くんにとって私は、同じクラスのただの友達に過ぎないかも知れない。
だけどもう、友達じゃいられない。
“友達”のままじゃ、嫌なの。
マ「んーお腹いっぱい！」
楽しくお喋りしながら、私達はイチゴのパンケーキを完食した。
A「ちょっと苦しいかも…」
マ「僕も…。今日は晩ご飯いらないや」
マリくんも少し苦しそうに、低く唸った。
A「パンケーキって、意外とお腹にくるよね」
マ「うん、でも前に女の子達と来た時は少し残してたけど、Aちゃんは全部完食したんだね(笑)」
A「…それは私がよく食べるって事？」
マ「ふふっ」
じとっとした目でマリくんを見上げれば、笑われた。
それが可笑しくて、私も笑みがこぼれた。
マリくんと話してると、場が和むというか、何だか温かい気持ちになる。
――そんな時だった。
？「あれっ、山梨さんじゃん！」
聞き覚えのある声に、視線を傾ける。
そこに居たのは、山下さんだった。
A「…山下さん――」
どうして、このタイミングで会っちゃうんだろう。
マリくんと一緒に居るとこ、見られたくなかったのに…。
健人くんの時みたいに、変な誤解されそう。
山下さんは、私と一緒に居るのがマリくんで少し驚いてるようだった。
み「もしかしてデート中だった？」
予想通りの言葉が返ってきた。
その表情は、何処か嬉しそう。
A「違うよ」
ホントはわかってるくせに、そういう事を言わないで欲しい。
み「…冷静で居られるのも今のうちだよ？」
耳元で、囁かれた。
A「え…？」
聞き返した途端、私の頭から血の気が引いていく。
何故なら、目の前に勝利くんが居たから。
勝利くんだけじゃなく、大勢のバスケ部員達が私の元へとやって来た。
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作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
