Vict.120 ページ20
み「…ねぇ、勝利くん大丈夫なの？」
部活の休憩時間、山下さんはずっと勝利くんに付きっきりだった。
勝「うん…」
み「ホントに？私、今日家まで送ってくよ…！」
私が入る隙も無いくらい。
勝「そんなのいいよ…悪いし」
み「私がそうしたいの！…何ならこれからずっと一緒に帰る？」
勝「何言ってんの…」
勝利くん、すごくしんどいはずなのに…
嫌な顔せず山下さんの話に答えてる。
A「…ねぇ、勝利くん体調悪いんだし…そっとしといてあげようよ」
意を決して、二人の間に入ってみた。
み「…そんなのわかってるよ。だからこそ、側に居てあげたいの。山梨さんはあっち行ってて」
勝「………」
勝利くん、庇ってくれないんだ…。
A「…行かない。迷惑かどうかは勝利くんが決める事でしょ？」
それでも私は、引き下がるわけにはいかない。
だけど――。
勝「…迷惑、なんだ…」
A「え…」
今、私の事…“迷惑”だって言った？
勝「Aちゃん…悪いけど、あっち行っててくれないかな」
A「………」
…何で、そんな事言うの…？
私の事…嫌いになった？
み「…ふふっ。勝利くんも意外とはっきり言うんだね」
嬉しそうに山下さんが勝利くんの腕にしがみついたその時、
突然――勝利くんが苦しそうにえずいた。
み「勝利くん…！？」
山下さんが慌てて勝利くんの背を支えるも、勝利くんはそのまま激しく嘔吐した。
み「きゃ…っ」
突然の事に、山下さんは小さく悲鳴を上げ、後ずさる。
勝利くんのただならぬ様子に、
周りの部員達は誰一人として近付こうとはしなかった。
A「…っ、勝利くん…！！」
私は我慢出来ず、うずくまってしまった勝利くんの側にしゃがみこんだ。
勝「…っ、ぅ……」
再びえずき始めた勝利くんを見て、
咄嗟に短パンのポケットからハンカチを取り出した。
勝「…っ、いい……汚れちゃうから…っ」
弱々しく、勝利くんは首を横に振る。
A「何言ってるの！？そんな気を遣ってる場合じゃないでしょ…！！」
怒号めいた私の叫びに、
勝利くんは無言のままハンカチを受け取った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 529人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「中島健人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
