Vict.118 ページ18
み「…っ、意味わかんない……勝手にすれば？」
A「………」
み「どちらにせよ、勝利くんは私を信じたの。――その事実だけは忘れないで」
良「言葉だけで、それが事実だと言い切れるの？」
み「失恋確定のあなたに言われたくない…！……山梨さんだって、振られる事は目に見えてる」
そう言い捨てると、山下さんは足早に何処かへ行ってしまった。
良「……大丈夫？」
内田くんが声を掛けてくれた。
A「私は……大丈夫。内田くんこそ、私のせいでひどい事言われちゃってごめんね…？」
良「“失恋確定”だって(笑)そんなの言われなくてもわかってるけど、へこむよね(笑)」
A「…ホントごめんね……？言い返してくれて――…ありがとう」
良「いいって。山梨さんのためだもん」
そう言って内田くんは微笑んだ。
私のため……。
好きだからこそ、その人の為に出来る事。
私は、勝利くんの為に何が出来るだろう。
そう考えて、やっぱり答えはひとつしか浮かばない。
これは、自分のためでもある。
私にはもう、想いを伝える事しか出来ない。
…――それ以外に何が出来る？
今一番私がすべき事は、“告白”しかないんだ。
応援してくれている健人くんやマリくん、
そして内田くんの気持ちに応える為にも―――。
傷付き傷付け合い、
もうこれ以上……
待たせるわけにはいかない。
誰もが、限界を感じてる。
み「勝利くん風邪引いちゃったの？」
“勝利くん”という言葉に反応して振り向くと、
今度は勝利くんと共に、
山下さんが再び体育館へとやって来た。
…私への対抗心が丸見えで、思わず溜め息が洩れる。
勝「うん、あのあと皆でカラオケ行ったからかも(笑)」
み「それで喉がつぶれて風邪引いちゃったんだ(笑)」
楽しげに会話する二人。
ていうか……
カラオケ行ったんだ――。
勝利くんにとっての親睦会は、
すごく楽しい一日だったんだね。
チクリと痛む胸を無理矢理押し払いながら、
私はその光景からそっと顔を背けた。
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作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
