Vict.116 ページ16
良「…勝利は信じなかったの？」
私が頷くと、内田くんは信じられないとばかりに動揺を示す。
良「な…んで？山梨さんが嘘なんてつくわけないのに…。ホントに、勝利は信じなかったの？」
よっぽど、内田くんにとっても勝利くんの言動は驚きを隠せなかったらしい。
A「うん…。私が忘れて覚えてなかっただけだって言ってた」
良「………」
内田くん、どう思ってる？
やっぱり…信じられない？
A「…それでも、やっぱり私は勝利くんを信じたいからこんな事でめげたりしたくない」
やんわりと微笑む私を見兼ねたように、内田くんがそっと口を開いた。
良「俺は信じるよ」
A「え…」
良「山梨さんの事、俺は信じる」
A「内田くん…」
本当に…私の事を信じてくれるの？
良「…俺、勝利を問い詰めてみる」
A「っ、お願い…勝利くんには何も言わないで？」
良「でも…っ」
A「お願い…っ、勝利くんは何も悪くないの」
良「山梨さん…」
勝利くんを責めるような事、したくない。
良「…勝利の事、すごく好きなんだね」
A「そ、れは…」
良「だからこそ、許せないよ。俺、勝利はもっと山梨さんの気持ちをわかってあげられると思ってた」
A「内田くん…」
どうして、そんなに悔しげな顔をするの…？
良「…勝利がそんなだったら、簡単には山梨さんを渡せない」
A「え…」
その時、山下さんが体育館にやって来た。
み「あれ？山梨さん今日早くない？」
A「…うん、この前遅刻しちゃったし」
み「それより、デートは楽しかった？」
良「デート？」
私より先に、内田くんが反応した。
み「内田くんはバイトで来られなかったから知らないと思うけど、山梨さん…マリウスくんとデートしてたの。親睦会の日に」
山下さんは意地悪く微笑む。
A「だからそれは…っ」
み「山梨さんね、用事があるから来れないって私に言ったんだよ。山梨さんにとってマネージャーになる事は、そんなに重要じゃないみたい」
彼女は、内田くんまでもを言いくるめようとしている。
だけど内田くんは――。
良「それって嘘でしょ？」
み「え…」
私を信じてくれてる。
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作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
