Vict.115 ページ15
――そして放課後。
こないだの遅刻の事もあって、今日は終礼が終わると直ぐに部活へと向かった。
それに、他に目的もある。
良「あれ、山梨さん今日早いね」
A「内田くん…」
体育館には、数人の部員と内田くんの姿があった。
そう言えば、“親睦会”で内田くんの姿を見てない。
良「何か元気無いね？」
A「えっ、そうかな？」
マリくんや聡くんの事で私までぼんやりしてたのかな。
良「…何かあった？」
A「えっと…内田くんは親睦会に行かなかったの？」
良「親睦会？…あぁ、山下さんが突然主催したやつね。うん、バイトが入ってたから行けなかったんだ」
A「内田くん、バイトしてたの？」
良「うん。部活と掛け持ちだから、そんな稼げないけどね(笑)」
A「何のバイトしてるの？」
良「コンビニ。あ、菊池も居るよ」
A「風磨くんも？」
風磨くん、コンビニでバイトしてたんだ。
そう言えば、バイトやるって言ってたもんね。
良「あいつ、見た目怖いけど意外とイイヤツだよね。最初、勝利と友達だって聞いてびっくりしたけど今はその理由がわかるよ」
そう言って内田くんは苦笑する。
A「うん、風磨くんは面白いし一緒に居て楽しいよ」
確かに人は見た目によらないもんね。
良「でも最初は近寄りがたかったんだよね。中島と仲良いみたいだし」
A「………」
内田くん、やっぱりまだ健人くんの事が許せないんだ。
良「…で、山梨さんは親睦会に行ったの？」
A「ううん、行ってない。ていうか…誘われてない」
良「誘われてない？」
A「あんまりこんな事言いたくないけど、私…山下さんにわざと誘われなかったの。信じてもらえないかも知れないけど…」
良「………」
A「実際、誰も私の事信じてくれなかったから――」
マリくん以外、皆山下さんを信じた。
私、何で内田くんにこんな事話したんだろう。
同情してもらいたかった？
信じてもらえないかも知れないのに？
思い出しただけで、目頭が熱くなってきた。
今更泣いたってどうにもならないのに…。
きっと、内田くんも信じないに決まってる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 529人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「中島健人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
