Vict.113 ページ13
健「おはよ。皆揃って朝から会議？」
直ぐに健人くんが教室にやって来て、いつものノリで話し掛けて来る。
後ろには聡くんも居た。
聡「何か寝不足かも」
聡くんは気だるそうに席に着くと、即座にマリくんが振り返った。
聡「…どしたのマリ？」
前の席のマリくんを、キョトンとした様子で見つめる聡くん。
マ「何で待ち合わせ場所に来なかったの？一緒に学校行こうって言ったじゃん。今日朝練無いんでしょ？」
聡「無いけど…え、約束してたっけ？」
マ「…ひどい。ちゃんと約束してたよ！」
聡「ごめん、全然覚えてない…」
聡くんは参ったように頭を掻く。
マ「健人くんと一緒に学校来たの？」
聡「違うよ、健人くんとは玄関で偶然会ったの」
それでもマリくんは不満そう。
健「うん、聡の言う通りだよ。それで教室まで一緒に来ただけだから」
見兼ねた健人くんが、マリくんの頭に優しく手を乗せた。
少しでもマリくんを宥めようとしているのが伝わってくる。
マ「子供扱いしないでよ…！」
マリくんは勢い良くその手を払いのける。
それが意外だったのか、健人くんは驚いたように口をつぐんだ。
聡「マリ、やり過ぎ。健人くんに謝りなよ」
マ「何で…？僕は何にも悪い事してない…！聡くんこそ、僕に謝ってよ」
聡「さっき謝ったじゃん」
マ「あんなの心が込もってない！」
風「はいはい、痴話喧嘩は終わりにしようぜ？(笑)」
風磨くんが冗談を交えて二人を止めに入る。
冷静さを取り戻した聡くんとマリくんだが、気まずい雰囲気は消えない。
聡「マリ…可笑しいよ？何でそんなに怒ってるの？」
マ「可笑しいのは聡くんの方でしょ？最近ずっとぼんやりして、話し掛けても上の空じゃん」
聡「俺が？気のせいだよ」
マ「違うもん！……ねぇ、何があったの？」
聡「だから何も無いって」
マ「嘘だ！」
聡「あーもー朝からうるさい…俺眠いから寝かせてよ」
マ「っ、聡くんの馬鹿！もう知らない…！」
怒ったマリくんが前を向くも、
聡くんは気にも止めず、机にひれ伏しながら目を閉じている。
このままじゃ良くないと思って私が口を開きかけた時、
健人くんの手がそっと肩に触れた。
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作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
