Vict.102 ページ2
A「私…知らなかった……」
初めて会った時から、ずっと好きでいてくれたの？
私が勝利くんの事で悩んでいた時、マリくんはどんな気持ちだったんだろう…。
マリくんの気持ちを思うと、胸が苦しくなった。
マ「…そんな顔、しないで？」
こんな時でも、マリくんは笑ってくれる。
一番辛いのは、マリくんなのに…。
A「マリくん…ごめんね、マリくんの気持ちはすごく嬉しい。だけど、マリくんの気持ちには応えられない……」
マ「うん…わかってるよ。だから、Aちゃんの事、応援したいんだ。このチケットが、僕の気持ち！」
そう言ってマリくんは、映画のチケットを私に手渡した。
私の手の中に握り締められた、2枚の映画のチケット。
この2枚のチケットが、マリくんの気持ち。
マリくんが、私の背中を押してる。
マ「…だから、諦めないで？」
マリくんの表情から、笑みが消えた。
ホントは、笑いたくなんて無かったはず。
マリくんの本当の気持ち、ちゃんと伝わってるから。
A「…ありがとう」
私がそう答えれば、マリくんは直ぐに笑ってくれた。
マ「ほら、早く食べよ？イチゴのパンケーキ！」
いつの間にか、イチゴのパンケーキが運ばれていたらしい。
マリくんはフォークとナイフを手に取った。
A「あっ…待って。写真撮る」
鞄の中からスマホを取り出し、イチゴのパンケーキにカメラのピントを合わせる。
小さく響くシャッター音。
マ「…綺麗に撮れた？」
A「うん、すごく美味しそう！」
マ「食べてみて？」
マリくんに進められるまま、一口食べてみた。
甘酸っぱいイチゴの味が、口いっぱいに広がる。
A「…すっごく美味しい！」
マ「でしょ？良かったー喜んでくれて！」
マリくんは嬉しそうに、大きなイチゴを頬張った。
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作者名：りん
| 作成日時：2014年7月29日 15時
