祈り 2 (ページ3)

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「うぃーす。来たよー。」

あれから毎日誰かしらは病院に来てくれるようになった。
今日は慎太郎。

「どう？産まれそう？」

「まだだよ。もうちょっとお腹にいてもらわなきゃ。」

「でももういつ産まれてもおかしくないんでしょ？」

「まぁ、そうだね。」

「本当大きいお腹だね。痛くないの？」

パイプ椅子をベッドの脇につけ、まじまじとお腹を見つめる慎太郎。

「痛くはないよ。めっちゃ重いだけ。」

「そりゃ小さいとはいえ人がいるんだから重いよね...いやぁ、ドキドキするねぇ！」

「何でお前がドキドキしてんだよ。」

「そりゃドキドキするでしょうよ！新しい命が産まれて来るわけだから。」

「命か...そうだよね。本当に奇跡だよ。」

この子がお腹に来てくれたことも、ジェシーと出会えたことも、メンバーと出会えたことも、今ある全てが奇跡だ。

「俺、子供なんて諦めてたのに。」

「諦めてたって？」

「ジェシーのことが好きって自覚した時に、もう俺は自分の子供は持てないんだって思った。その時は赤ちゃん産めるだなんて分かんなかったし。」

「まぁ、そうだよね。」

「だからこの子が来てくれて本当に嬉しいの。ちゃんと健康な体では産んであげられないけど、俺は全力でこの子を守るって決めた。」

「とは言ってもまた一人で背負い込みすぎないでよ？俺らいるんだから。でも一番はジェシーに頼ること。この子のパパなんだから。あ、そうだ！」

するといきなり慎太郎がスマホの画面を見せてきた。
そこに映っていたのは何かをしているジェシー。

「これね、オムツ替えの練習してるんだよ。」

「え？」

「人形買ってオムツ替えの練習ずっとしてるんだって。時々楽屋でもやるからびっくりするよ。」

「そうなんだ...」

「ずっと勉強してるよ。ミルクのあげ方も抱っこの仕方も。あいつはパパになること本当に楽しみにしてるよ。」

単純に嬉しかった。
本当にこの子の存在を受け入れてくれてるんだと実感出来た。

「お前も安心して出てくるんだよ。」

慎太郎が優しくお腹を撫でてくれた。

慎太郎の声は優しいのによく通る。
お腹の子もそれが分かっているようでいつもより優しく蹴ってくれた。

「みんな、君が産まれてきてくれるの楽しみにしてるよ。」